「地元枠」試行を継続 GW、夏休みの実態把握へ 三太郎線の車両規制実験報告 奄美市住用町

2023年03月05日

地域

市道三太郎線の実証実験結果の報告会=2日、奄美市住用町

夜間に野生生物を観察するナイトツアーの増加を受けて車両規制を導入した奄美市住用町の市道三太郎線周辺で、繁忙期向けの新たなルール案を試行した実証実験の報告会が2日、同町の住用公民館であった。住民限定で設けた「地元枠」の利用が昨年秋のシルバーウイーク(SW)に比べ、年末年始は大幅に増えるなど、2回の実験で異なる結果となった。環境省はゴールデンウイーク(GW)や夏休みの需要を把握する必要があるとして、新ルール案の試行を継続する方針を示した。

 

三太郎線周辺はアマミノクロウサギなど希少な生き物が多いナイトツアーの人気スポット。車両規制は来訪者の増加に伴う希少動物のロードキル(交通事故死)や車の追い越しをめぐるトラブルの防止が目的。官民の関係機関でつくる夜間利用適正化連絡会議が予約制や台数制限などを2021年10月に導入した。

 

新ルール案は、住民やガイドからの要望を受けて、住用町民限定で1日1組の地元枠を設け、現行で30分ごとに1台としている車両台数を、多人数に対応するため1グループであれば同時に2台まで通行可能とするもの。利用が集中する大型連休やお盆、年末年始などに導入を検討している。

 

実験報告によると、地元枠の利用率はSW(9月17~25日)が9日間で1件のみと1割程度だったのに対して、年末年始(12月27日~1月9日)は14日間で10件と7割超に増えた。同時2台通行はSWの11件から年末年始は3件に減った。

 

報告では新ルール案について「時期により需要が異なる」と考察。今年のGWや夏休みの需要を把握するため、試行を継続する方針を示した。利用者へのアンケート調査では、地元枠、同時2台通行ともに賛否が分かれており、ルールの趣旨や内容について「丁寧な周知が必要」としている。

 

環境省奄美群島国立公園管理事務所の山根篤大国立公園保護管理企画官は、新ルールについて「通年で利用の傾向を把握したい。ゴールデンウイークの実験結果を踏まえて、(ルールを)改善することも検討する」と述べた。