「復帰の歌」作曲者遺族が来島 歌碑建立記念式典出席で 沖永良部島

2023年12月19日

地域

「復帰の歌」歌碑建立記念式典に出席するため来島した作曲者の長女・柏木みどりさん(前列左)と次女・上野京子さん(同右)ら関係者=17日、和泊町

米軍統治下の沖永良部島で歌われた「復帰の歌」を作曲した故柴喜与博さん(和泊町和泊出身)の長女・柏木みどりさん(75)=姶良市=と次女・上野京子さん(70)=静岡県=が17日、家族と共に沖永良部島に来島した。19日に沖永良部高校で行われる同曲の歌碑建立記念式典に出席する。

 

沖永良部島では1952年、「沖永良部・与論分離返還説」報道を受け、沖永良部高校の教職員、生徒会が中心となって二島分離反対運動が展開された。「復帰の歌」は当時、教諭として同校に勤務していた佐伯植美さんが作った歌詞に、同じく同校の教諭だった柴さんが曲を付けたもので、運動の盛り上げに一役買った。

 

柏木さん、上野さんによると、柴さんは「復帰の歌」を作曲後、日本復帰はかなわないと判断。奄美群島の日本復帰を待たずして家族を養うために上鹿した。柏木さんは4歳、上野さんは生まれる前だった。同曲との関わりを柴さん本人が家族に語ることはなく、二人は大人になってから当時の資料などを調べて後から知ったという。

 

今回、歌碑建立に向け実行委員会が立ち上がったことを新聞記事で知り、地元教育委員会に連絡したことで式典への出席が決まった。柏木さんの夫・直義さん(77)、上野さんの長女・薫さん(30)も同行した。

 

歌碑建立について柏木さんは「父が生きていたらどんなに喜ぶか」、上野さんは「父方の墓参りのために島を訪れた5年前は知り合いもなく、寂しい思いだった。歌碑が建立されることで途切れた島への思いがつながり、うれしい」と笑顔で話した。

 

歌碑建立記念式典は19日午後3時から、沖永良部高校で開催される。(沖永良部総局)