クロウサギの輪禍多発 官民で啓発活動 奄美大島

2022年10月12日

地域

アマミノクロウサギの交通事故防止を呼び掛けたキャンペーン=10日、奄美市住用町

国の特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故防止に向けた街頭キャンペーンが10日、奄美市住用町の奄美大島世界遺産センターであり、環境省や民間団体の関係者らが来館者にチラシを配布した。奄美大島ではクロウサギのロードキル(交通事故死)が急増し、2年連続で過去最多を更新している。同省は「秋から冬にかけては繁殖行動が活発になる。夜間の運転に注意してほしい」と呼び掛けている。

 

環境省はクロウサギの活動が活発になる毎年秋ごろに、生息地の奄美大島と徳之島で交通事故防止キャンペーンを行っている。今年は11月15日まで、ラジオ、自治体広報誌での啓発や、観光施設へのポスター掲示などを展開している。

 

世界遺産センターでのキャンペーンには官民の関係者10人余りが参加。クロウサギのマスコットキャラクター「あまくろ」も応援に駆け付け、観光客や地元住民に安全運転を呼び掛けた。

 

環境省によると、奄美大島ではクロウサギのロードキルが2020年に54件、21年に61件と最多を更新。今年は8月末時点で54件と、前年同期の32件を大幅に上回っている。

 

同省奄美野生生物保護センターは「秋から冬にかけて事故が多くなる。(今年も)昨年を上回る可能性が高い」と懸念し、「山だけでなく、県道や国道でも事故が発生している。ゆっくり運転することで事故は減らせる」と訴えた。