タンカーから油流出想定 官民合同訓練で連携確認 竜郷発電所

2022年12月20日

地域

タンカーから海上に油が流出した想定で、被害を抑制する二次オイルフェンス展張を実践する訓練関係者=19日、龍郷町

海上のタンカーから油が流出した想定で防除作業を行う訓練が19日、龍郷町の九州電力送配電竜郷発電所前の沿岸部であった。同発電所職員と奄美海上保安部など行政機関から関係者約40人が参加。油の流出発覚から防除完了まで一連の作業を実践し、資機材活用手順や情報伝達態勢などを確認した。10月に宇検村沖で作業台船が座礁した事故を踏まえ、事故発生時の油流出防止・抑制へ意識を共有した。

 

訓練は奄美群島排出油等防除協議会奄美支部(支部長・樋口則一奄美海保部長)が主催し、毎年、奄美大島各地で実施している。今回は桟橋に係留中のタンカーから発電所へ重油を移送する際に移送管が破損し、重油500リットルが海上に流出する事故を想定した。

 

事故発生に伴い発電所が奄美海保へ通報。連絡を受けた奄美署が付近沿岸に交通規制を掛け、消防が周辺住民へ周知した。流出状況を調査した後、発電所職員らが防除作業を実施。既設のオイルフェンスを囲む二次フェンスを展張し、専用資機材で油を回収した。

 

流出した油の回収作業には、長い柄の付いたひしゃくや吸着マット、自動で吸い込む専用装置などを使った。流出状況や周辺の環境次第では、物理的、化学的な手法で油の分散や分解を促す場合もあるという。

 

訓練後、樋口支部長は「各機関がそれぞれの役割を果たしていた」と講評。宇検村沖の作業台船座礁事故に触れ「少量の油流出はあったが、周辺への影響は未然に防いだ。被害抑制には情報共有が不可欠。さらなる関係機関の連携深化を図りたい」と呼び掛けた。

 

川崎隆二発電所長は「油流出を想定した訓練は職員間で毎年実施しているが、関係機関と合同で行う意義は大きい。予期せぬ事故にも慌てず対応し、奄美の海を守れるよう訓練を継続したい」と話した。