ライドシェアで児童送迎 放課後クラブへ移動負担減 奄美市住用町
2025年04月27日
地域

住用小学校から放課後児童クラブに到着した三太郎タクシー=18日、奄美市住用町
自家用有償旅客運送(自治体ライドシェア)を活用した放課後児童クラブへの児童送迎が、奄美市住用町で始まっている。同町の住用小学校から摺勝地区の児童クラブを利用する児童を、国の事業を活用し無料で送迎する。学校や児童クラブの職員、保護者など関係者の負担軽減にもつながっているとして好評だ。
自治体ライドシェアは地域のバス・タクシーによる輸送サービス提供が困難な場合、自治体などが自家用車で地域の移動手段を確保する制度。2種免許を持たないドライバーも規定の講習を受けることでハンドルを握ることができる。奄美市では、路線バスを運行する「しまバス」の減便を補うために昨年10月、住用町と笠利町でスタートした。
このうち住用町のライドシェアは「三太郎タクシー」と呼ばれ、希望する町内の2地点間が、一乗降当たり300円(小学生半額、未就学児無料)で利用できる。
今回始まったのは、住用小から放課後児童クラブ「住用オレンジクラブ」への児童を送る取り組み。同小と同クラブは遠距離にあり、これまではクラブの職員や教諭が児童を送り迎えしていたが、負担が大きいため送迎の依頼先を探っていたという。
同クラブ主任指導員の松下律子さん(73)は「タクシー会社などにかけあったが、折り合いがつかなかった。奄美市に相談し、三太郎タクシーにお願いすることになった」と説明。三太郎タクシーの場合は、国の「放課後児童クラブ送迎支援事業」を利用できることから、保護者の負担もない。
松下さんは「保護者からも好評。ドライバーに任せることができ『安全安心』が何より大きい。これまで滞りがちだった職員の事務作業もスムーズになり、子どもたちに向き合う時間も増える」と喜んだ。
ただ、三太郎タクシーは平日にドライバー一人で運用していることから、一般の利用者と児童クラブ利用者のどちらかの待ち時間が発生する場合もある。運用する奄美市社会福祉協議会の担当者は「民間のタクシーでも人手がなくて待つこともある。まだ始まったばかりで試行錯誤している。おおらかな気持ちで利用していただければ」と話している。