共生と野生復帰目指す クロウサギミュージアム、大和村思勝に20日開所
2025年04月18日
地域

20日オープンするアマミノクロウサギの研究飼育施設「アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru(くるぐる)」=14日、大和村
国の特別天然記念物アマミノクロウサギの研究飼育施設「アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru(くるぐる)」が20日、大和村思勝に開所する。人とクロウサギの共生、個体の野生復帰を目指す施設。クロウサギの野生での暮らしを模擬体験できる他、日中でも飼育中の個体を見ることができる。一般客の入場は21日から。くるぐるの大瀬幸一所長(同村企画観光課長)は「世界に誇る奄美の自然を守るためにどのようなことに気を付け、行動するべきなのか学び、未来へつなげてほしい」と話し、来場を呼び掛けている。
施設は環境省奄美野生生物保護センターに隣接し、建築面積789平方㍍の鉄筋コンクリート造一部二階建て。獣医師が常駐して交通事故などで傷ついたクロウサギの治療とリハビリを行い、解明されていない生態の研究も進めるほか、研究者の拠点施設にもなる。最大20匹の展示・飼育が可能。設置したカメラで巣穴の中の様子も観察できる。
展示室は5ブースに分かれる。「くるぐるひろば」ではクロウサギの生態や太古からの人との関わりを紹介。クロウサギにまつわる昔話を映像や音声で楽しめる。「くるぐるの森」はブラックライトを手にクロウサギの目線になって夜の森を模擬体験する展示。季節によって動植物が入れ替わる。
「ひるにわ」は現在クロウサギ「ユワン」が暮らす屋外飼育場。「よるにわ」は昼夜逆転した屋内環境で、昼間でも実際にクロウサギの姿を見ることができ、現在「ケンタ」を飼育中。「くるぐるの道」はクロウサギとの共生の道を探す参加型の展示となっている。
ユワンは2021年2月に宇検村湯湾で交通事故に遭い、大けがを負った。ケンタは17年3月に野生化した猫(ノネコ)に襲われけがをしたため同村田検で保護された。2匹とも雄。島内の動物病院で治療を受けたが、ユワンは野生復帰は難しいと判断、ケンタは経過観察が必要とされ、鹿児島市の平川動物公園で飼育されていた。
くるぐるの豊田英人獣医師によると、ユワンは2月に来て環境にも慣れてきたためか、食欲も旺盛で規則正しく活発な生活を送っている。ケンタは3月に来島。まだ警戒心が強めで、食もえり好みがある。豊田獣医師は「少しずつ慣れていってほしい」と話す。
同施設はカフェとミュージアムショップも併設。カフェでは大和村産のくびき(ツルグミ)や月桃などを用いたオリジナルドリンクが楽しめる。ショップでは原寸大のクロウサギのぬいぐるみなど、くるぐる独自のグッズを販売予定。
20日は現地で式典が行われるほか、村内外から75人を無料招待し、施設見学を実施する。21日からの営業時間は午前9時半~午後4時半(最終入館4時)。入館料は一般千円、子ども700円、未就学児無料。奄美大島や大和村在住者は割引がある。問い合わせは、電話0997(57)1196アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru。