喜界町で好調、空き家バンク 「移住者と集落つなぐ懸け橋に」 移住コーディネーター行本さん

2022年09月20日

地域

空き家バンクに登録されている空き家を紹介する喜界町移住コーディネーターの行本さん=15日、同町川嶺

喜界町の空き家バンク制度の利用が好調だ。登録件数は4月からの約半年間で11件増え、うち5件で入居が決まった。今後1カ月以内に登録件数5件の増加が予定されている。今年度から移住・定住を担当する、地域おこし協力隊員で町移住コーディネーターの行本未沙希さん(39)は「移住者と地域(集落)をつなぐ役割を果たしたい」と活動に意欲をみせている。

 

■区長協力、広報誌活用

 

大阪府出身の行本さんは今年度協力隊として着任した。喜界島にはたびたび旅行で訪れていたが、島内に親族はおらず「家主へ空き家バンクに登録してくださいと頼んでも、知らない人からの依頼はハードルが高い」と感じ、町内37集落の区長へ協力を要請した。

 

また毎月発行している広報誌で、空き家バンク制度について掲載。町へふるさと納税する島外の寄付者にも制度を周知した。

 

「喜界島出身でない私一人では何もできない。いろんな人から紹介していただくことで、島内外から空き家情報が集まるようになった」と行本さん。リフォーム代金を補助する町の空き家改修事業も後押しし、2020年1月の運用開始から2年3カ月で16件だった空き家バンクの登録件数は、9月19日現在で27件となっている。

 

■移住相談の窓口に

 

喜界島には不動産業者が1社しかなく、町役場が移住相談の窓口を担うことも。移住定住担当として重視しているのが、移住者と集落、家主との関係性だ。

 

「移住がきっかけでトラブルが起こり、集落に悪影響を与えたら意味がない」とマッチングには細心の注意を払う。集落や家主の希望を踏まえた上で、移住希望者が集落になじめそうな人かどうかを見極め、両者をつないでいるという。

 

家を貸し出す家主側との相談、交渉も担当する。空き家バンクへ登録希望の物件を確認して、移住者目線で必要に応じてリフォームや設定した家賃の値下げの提案などを行っている。

 

■お試し移住実施へ

 

本土からの移住者の悩みの一つに挙げるのが、「移住後のギャップ」だ。本土との違いに戸惑って旅行者時代に憧れだった島暮らしが苦痛に変わり、島を離れる事例も少なくない。

 

このギャップ解消に向け喜界町では9月末から、一時的に民間施設を活用して移住を実体験するお試し移住を開始する。お試し期間は1~2カ月。年度内には旧教職員住宅を改修して、通年で体験者の受け入れを計画している。

 

行本さんは「地方では人とのコミュニケーションが大事。集落、移住者の双方が幸せになれるよう貢献できれば」と力を込めた。