地域で子育て「島の宝」 ANA社長芝田氏が講演 瀬戸内町

2022年11月06日

地域

人を育てる奄美の環境の優位性などについて講演したANAホールディングス芝田社長=5日、瀬戸内町

瀬戸内町加計呂麻島出身で、今年4月に国内航空大手のANAホールディングス代表取締役社長に就任した芝田浩二氏による特別記念講演会「奄美大島 瀬戸内町の新たな可能性とは」が5日、同町のきゅら島交流館であった。芝田氏は自身の経験や半生を振り返りながら、「環境は人を育てる」と強調。幼少期を過ごした加計呂麻島や奄美大島に残る、地域で子どもを育てる文化を「文化遺産に値する島の宝」と称賛し、次世代へ継承するよう呼び掛けた。

 

講演会は夢を持って活躍できる人材を一人でも多く島から輩出したいと、同町商工会青年部が主催。町内外から約230人が来場した。

 

芝田氏は加計呂麻島の芝集落出身。小学4年生まで同島、中学卒業まで住用村(現奄美市住用町)で過ごし、高校進学を期に島を離れた。全日本空輸入社後はロンドン支店長などを歴任。アジア戦略部長時代には、格安航空会社(LCC)「バニラ・エア」の設立、奄美路線の就航などに携わった。

 

芝田氏は自身の経歴を紹介し「環境が変われば、人はいろんな気付きをしてステップアップし、交遊も広がる。加計呂麻からこういう人生を歩んできたと思うと感慨深い。私が社長になれたのは、一つ一つ環境を変えていった結果だ」と述べた。

 

世界自然遺産に登録された豊かな自然と、集落・地域社会が寄り添って子どもを育てる奄美の環境は「子どもたちに大きな可能性を与える」と強調。次世代を担う子どもたちへ「立派な環境に恵まれているということを認識し、自信を持って前に進んでほしい」とエールを送った。

 

このほか、ドローンを活用して条件不利地域に生活物資を運ぶ同社の「ドローンプロジェクト」、2025年開催予定の大阪万博に向け開発中の「空飛ぶクルマ」の事業紹介もあった。