地域を学び、価値創出へ 座学や実習、受講生が発表会 鹿大「奄美環境文化教育プログラム」

2023年03月22日

地域

課題発表・修了式がオンラインであった鹿大奄美環境文化教育プログラム(提供写真)

奄美群島の住民や移住希望者を対象に鹿児島大学が実施している「奄美環境文化教育プログラム」の課題発表会と修了式が19日、オンラインで開かれた。受講生28人がウェブ会議システムで参加。「地域の独自性や奄美群島の多様性を体系的に知れた」「得た知識と受講生同士のつながりをこれからの活動に生かしたい」など、講義で学び取ったことや今後の地域振興に向けたそれぞれの展望などを語った。

 

教育プログラムは奄美の島やシマ(集落)の地域特性を「環境文化」の視点で捉え直し、その価値を生かした新たな仕事の創出や人材育成などにつなげることを目的に、21年度から開講している。2022年度は36人が受講。座学や現地実習など20科目全66時間の講義を通し、身近な奄美について深く学んだ。

 

課題発表で、喜界島のシンガー・ソングライター土岐宏大さんは、各地域で生まれた歌に着目したことを報告。「歌の中にその土地の歴史や人の記憶が記されている」として、文化や歴史の継承へのヒントを探った。

 

千葉県と奄美大島の2拠点生活を送る御須裕子さんは「奄美について知らないことばかりだと気付かされた」と話し、今後受講生同士で自分たちの集落を案内する活動を展開しようと提案した。

 

このほか、「たくさんの人からその人なりの島・シマの捉え方を聞き、自分の考えを振り返るきっかけになった」「昔ながらの風習や文化が生活を豊かにしていると感じた。日々の生活に取り入れたい」「地元の魅力を発信し続けることで文化や産業の後継者確保につなげたい」などさまざまな意見が共有された。

 

修了式では、岩井久副学長が画面越しに修了証書を授与。今年度の修了生22人を代表し、子育てをしながらプログラムに取り組んだ徳之島在住の大保由佳里さんが「知識を得るだけではなく、さまざまな立場の人と出会えたことが人生の財産になった。ここで生まれた娘と共に、これからも島のことを学びながら人に伝えていけるよう活動していきたい」と語った。