奄美市名瀬金作原で車両乗り入れ規制実験

2018年02月17日

地域

一般車両に乗り入れの自粛を呼び掛ける関係機関の職員ら=16日、奄美市名瀬知名瀬

一般車両に乗り入れの自粛を呼び掛ける関係機関の職員ら=16日、奄美市名瀬知名瀬

 今年夏を見込む世界自然遺産登録による観光客の増加を見据えて、奄美市名瀬の金作原国有林周辺で16日、車両の乗り入れを規制する利用ルールの実証実験が始まった。初日は事前に登録のあったエコツアーガイドの車両5台と貸し切りバス1台の利用があった。規制区間の入り口では、関係機関の職員らが通行車両に協力を求めたが、実験ルールに法的拘束力はなく、そのまま金作原方面へ向かう一般車両も見られた。

 

 規制区間は、国有林内を横断する金作原林道に接続する市道奄美中央線と、市道と麓の知名瀬集落を結ぶ林道、農道の計約9・3㌔。金作原方面への主要ルートの入り口となっている知名瀬集落の農道沿いで、関係機関の職員らが事前に登録した車両に通行証を手渡し、金作原方面へ向かう一般車両には利用規制について説明し、乗り入れの自粛を呼び掛けた。

 

 同日はツアー客らの貸し切りバスと、グループ客を乗せた奄美群島エコツーリズム推進協議会の認定ガイドの車両が金作原を訪れ、自然散策を楽しんだ。

 

 バスツアーで初めて奄美を訪れた篠田千賀子さん(64)=愛知県安城市、清水麻美さん(36)=同県刈谷市=親子は「こんな自然が日本にあることに驚いた。マイナスイオンをたくさん感じた」と笑顔を見せ、利用規制については「世界遺産になるともっと人が入ると思う。(国内の観光地で)規制はどこでもある。自然を一番大事にしてほしい」と話した。

 

 実証実験は22日まで。環境省、林野庁、県、奄美市、民間団体などで構成する奄美大島利用適正化連絡会議が実施。利用を制限することで、金作原の自然環境を保全するとともに、混雑を緩和して観光客に質の高い自然体験の提供を図る。実証実験を踏まえて本格的な利用ルールの導入を目指す。

 

 金作原の利用者は近年増加している。奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長は「(金作原への)道路は狭く離合は困難。路肩の植物を知らずに踏んでしまうなど、利用の集中で金作原の良さが失われる恐れもある」と利用制限の必要性を強調した。

 

 連絡会議事務局の大西千代子・県自然保護課奄美世界自然遺産登録推進室長は「入り口を突破した車もあったが、大きな混乱はなかった。土日は利用者が多いと思われるが、協力をお願いしたい」と呼び掛けた。