奄美114カ所で確認 県「被害は軽減」 軽石漂着

2022年03月12日

地域

軽石回収のボランティア作業に取り組む龍郷町の職員=2021年11月14日

県がまとめた軽石の漂着状況(2日時点)によると、漂着箇所は奄美群島114カ所を含む県内133カ所で、原状回復したのは14カ所(うち自然回復10カ所)にとどまっている。県の対応(回収)を必要とする75カ所のうち、事業などで回収済みは4カ所、事業やボランティアで回収中が39カ所、未着手は32カ所。危機管理課は「数字上はまだ漂着箇所が多いが、漁業被害は減少し、生活に影響が直結するような港湾や漁港は優先して回収を進めており、実際の被害は軽減されてきている」としている。

 

軽石の漂着は奄美12市町村を含む県内離島の18市町村で確認されている。漂着地の内訳は、港湾37カ所、漁港31カ所、海岸41カ所、農地海岸24カ所。漂着地のうち、48カ所は利用に支障がないことなどから対応の予定はない。

 

奄美での漂着状況を市町村別でみると、奄美市が最多の30カ所で、瀬戸内町15カ所、徳之島町14カ所、喜界町と龍郷町、与論町が各9カ所などとなっている。

 

軽石が原因で発生したエンジンのオーバーヒートなど漁船被害は累計46件で、今年1月5日以降の被害報告は8件。また、軽石を理由に出漁を控えた漁船は2月2日以降なかった。

 

軽石の大量漂着・漂流は、小笠原諸島の海底火山噴火によるもので、奄美群島では昨年10月上旬ごろから各地の海岸などで漂着が確認された。県は軽石の再漂着も踏まえて影響が長期化するとみており、国の事業などを活用しながら対応していく方針。同課の担当者は「海岸では国の天然記念物オオヤドカリなど生態系にも配慮する必要があり、適切な手続きの下で順次回収を進めていきたい」と話した。