島の未来語り合う 脱炭素などで討論会 沖永良部島

2022年11月15日

地域

高校生2人も参加した島の未来を考えるパネルディスカッション=13日、和泊町

【沖永良部総局】第3回島暮らし・デザイン・フォーラム(酔庵塾主催)が13日、和泊町役場結ホールであった。「心豊かなゼロ・カーボン・アイランド~若者たちが考える未来の沖永良部島」をテーマに、高校生を含む島内外の男女11人が討議。沖永良部島の魅力や理想の将来像、脱炭素社会実現に向けた取り組みなどについて語り合った。

 

和泊、知名両町は環境省が今年4月に発表した「脱炭素先行地域」の第1弾に鹿児島県内で初めて選出され、2026年度まで同省から50億円規模の支援を受けて再生可能エネルギーを活用した脱炭素化に取り組む。

 

フォーラムでは初めに、一般社団法人サステナブル経営推進機構研究員で知名町企画振興課に出向中の乾大樹氏が、島内の現状やゼロ・カーボンシティへ向けた取り組みを紹介。「文化や産業を次世代につなぐためにも地球温暖化問題や異常気象問題の解決に本気で取り組まなければいけない」と強調した。

 

東北大学名誉教授で酔庵塾塾長の石田秀輝氏は基調講演で、気候変動の影響や生物多様性の損失を食い止めるために社会活動の転換が必要だと述べ、「環境負荷を減らし縮減・自立した経済を目指す上で、沖永良部らしい暮らしが実は最先端の生活様式と言える」と語った。

 

前環境事務次官で日本製鉄顧問の中井徳太郎氏は「脱炭素をテコに豊かな地域の未来を拓く」の題で講演し、「脱炭素を進めることが地域の課題解決にもつながる」と話した。

 

島内外の20~30代の若者で構成する未来会議「エコラブ」の活動報告があったほか、酔庵塾メンバーで同クラブ事務局の甘利一誠氏(知名町農林課主事)、吉田雄輝氏(同)と乾氏、沖永良部高校の生徒2人が「若者が考える島の未来のかたち」をテーマに討議。

 

「多様な働き方ができ、帰りたいときに帰って来られる島にしたい」「島外の人との交流で身近に当たり前にあるものの良さに気付いた」「東京など都会への情報発信だけでなく、地域内の交流を活発にすることも必要」などと意見を出し合った。

 

総合討論では酔庵塾事務局で知名町議会副議長の外山利章氏を進行役に、中井氏と石田氏、前登志朗和泊町長、今井力夫知名町長、サステナブル経営推進機構カーボンニュートラル事業室副主任研究員の澤村翔太氏が意見交換した。

 

石田氏は「環境問題を契機にこれまでの社会構造を見直したとき、これまで遅れているとされていた離島の暮らしが最先端になった。若者に比べ大人たちが価値観の変化についていけてない印象がある」と指摘。

 

澤村氏は「ゼロ・カーボンの目標達成に向け、行政、企業、住民の連携と活発な意見交換が不可欠。まずは橋渡しをする仕組みを作っては」などと提言した。

フォーラムには50人が参加。オンライン配信もあり、約20人が視聴した。