島民の思いアートで表現 米出身アーティストが展示会 徳之島町

2024年03月10日

地域

来場者へ作品について説明するジャック・ジェームズさん(右)=8日、徳之島町生涯学習センター

米ニューヨーク州出身の芸術家ジャック・ジェームズさん(45)の作品展示と懇談会「島とアートを紡ぐ会」が8、9の両日、徳之島町生涯学習センターであった。2010年に徳之島であった米軍普天間飛行場移設反対運動や大島紬を題材とした作品を展示。今後、国内外での展示会を企画しているジャックさんは「平和の大切さや島民の島を思う気持ちをできるだけ多くの人に伝えたい」と笑顔で語った。

 

ジャックさんは現在、日本在住。早稲田大学で現代美術の准教授も務める。妻の母親が同町轟木出身で、奄美群島にはたびたび来島。米国で学生だった頃、イラク戦争や9・11アメリカ同時多発テロ事件を目の当たりにして暴力のない世界の実現を強く願うようになったという。

 

徳之島の移設反対運動は、当時は知らなかったというジャックさんだが、その後、独自に研究を開始。反対運動で島民が掲げていたプラカードや鉢巻きに描かれたメッセージに強く感銘を受けて創作を決意し、約2年間かけて150作品を完成させた。

 

「反対運動で掲げられたメッセージから島民の熱意とパワーを感じた。作品にする際は当時の人々の思いに敬意と感謝を込めてできるだけ忠実に再現しようと努めた。メッセージの英訳も完成した」とジャックさん。「徳之島の反対運動はもっと多くの人が知るべき。作品を通じて、平和や現在の日米関係について再考する機会にしてもらえたら」と期待を込めた。

 

全作品が大島紬の染色に使われるテーチ木(シャリンバイ)から作ったインクで描かれ、大島紬のさまざまな柄を描いた作品も展示した。大島紬への造詣も深いジャックさんは「紬の柄には昔の人の知恵と工夫が詰まっている。国内外に大島紬の素晴らしさを伝えて継承につなげたい」との思いも語った。