念願かない「古里の空を飛ぶ」 奄美市出身の竹山翔太さん(29) JACの副操縦士デビュー

2018年05月19日

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JACの副操縦士としてデビューした竹山さん=18日、霧島市の鹿児島空港

JACの副操縦士としてデビューした竹山さん=18日、霧島市の鹿児島空港

 奄美市名瀬出身の竹山翔太さん(29)が日本エアコミューター(JAC)に入社し、副操縦士としてデビューした。厳しい訓練を乗り越え、古里の空を飛ぶ夢をかなえた竹山さん。あきらめない心の原点は「雑草魂」にある。

 

 竹山さんは祖父母に連れられて奄美空港に行くようになり、パイロットに憧れた。金久中学校を卒業して県本土の高校に進学。同志社大学の部活動でグライダーに乗り、飛行機を操縦する醍醐味(だいごみ)を知った。

 

 パイロットとして働くためには主に航空大学校や航空会社の自社養成制度で学ぶ必要がある。だが、竹山さんは視力や身長で受験資格を満たせなかった。

 

 「子どものころからの夢は簡単にあきらめられない」と民間の養成会社に通い、働きながら訓練費用を稼いだ。

 

 ライセンスを取った後も紆余(うよ)曲折があった。航空会社4社の試験で不合格になり、4年間の「就職浪人」を経験。JACは2度目の挑戦で採用された。

 

 同社の試験は10人に1人合格という狭き門。入社後も厳しい訓練を積み、副操縦士として認められた。110人のパイロットのうち奄美出身者は竹山さんを含め2人となった。

 

 今月9日の初フライトでは鹿児島から喜界、奄美、徳之島と島々の空を飛んだ。父親の博昭さん(55)、母親のあゆみさん(56)も搭乗。悪天候で眼下の景色を楽しむ余裕はなかったが、支えてくれた両親に「ありがとう」の気持ちを伝えた。

 次の夢はキャプテン(機長)になること。「安全を第一に考え、模範になれるようなパイロットを目指したい」と気持ちを新たにしている。