懐かしい家庭の味に舌鼓 郷土料理の魅力学ぶ 愛好家らが調理体験
2025年04月16日
地域

調理体験を通して郷土料理の魅力を学んだシマくいぶ会の会員ら=11日、奄美市名瀬
奄美の郷土料理愛好家ら有志がこのほど結成した「シマくいぶ会(仮称)」(泉和子代表)は11日、奄美市名瀬の新川ふれあい館で第1回活動を行った。会員らが島の食材を使った「フチムチ(よもぎ餅)」と「ブタミシ(豚飯)」を調理し実食。シマ料理の魅力に理解を深めた。

完成したブタミシとフチムチ(提供写真)
「くいぶ」は方言で「食べ物に困らない運」という意味。同会は郷土料理を「作って食べて伝える」ことを目的としており、今後は月1回の活動を計画。旧暦の行事に合わせて旬の料理を作り、会員らが昔ながらの家庭の味や島の文化を学ぶ機会をつくる。
初めての活動となったこの日は午前9時にスタート。講師を務めたシマ料理研究家の泉代表(73)を含め、管理栄養士やエコツアーガイド、奄美群島地域通訳案内士、シマユムタ(方言)継承者など6人が参加した。
フチムチは、魔よけや薬用としても利用されるヨモギを入れてついた餅をクマタケランの葉に包んで蒸す。奄美ではサンガツサンチ(旧暦3月3日)の節句にフチムチを作って食べる風習がある。
ブタミシは塩豚を入れて炊いたご飯に具在を乗せ、昆布とかつお節でだしを取ったスープをかけて食べる。塩豚は保存食として江戸時代から作られていた記録が残っているという。
会員らは方言の会話を交えながら互いに協力し、和気あいあいと調理。完成した料理を実食し、懐かしい味わいに「おなかも胸もいっぱいになった」と食べる喜びを分かち合った。
泉代表は「シマ料理は北から南からの食文化が入り混じり多様性がある。いろんな食材を生かしてアレンジして新しいものにも変えられる。魅力を発信していきたい」と話した。