技能継承へ連携を 日本茅葺き文化協会が来島 沖永良部島

2024年02月02日

地域

地元保存会の案内で沖永良部島のかやぶき建造物を調査する日本茅葺き文化協会のメンバーら=1日、知名町

日本茅葺(かやぶ)き文化協会(茨城県)の安藤邦廣代表理事(筑波大学名誉教授)、上野弥智代事務局長(1級建築士)、塩澤実さん(京都府・かやぶき職人)が1月31日~2月1日、沖永良部島を訪問。和泊、知名両町にあるかやぶき屋根の高倉とサタ(砂糖)小屋計3棟を調査したほか、同3棟の保存や技能継承へ向け、地元保存会などと連携を強めた。

 

同協会はかやぶきの歴史、文化、技術の正しい理解と普及、資材となるカヤ場の保全などを目的に全国各地のかやぶき職人や研究者などで2010年設立。23年から奄美、沖縄で重点的に活動している。今回奄美では沖永良部島のほか、与論島も巡った。

 

安藤代表理事は「かやぶきは古い文化、滅びゆくものと思われているが、持続可能な社会をつくるための未来の技術でもある。奄美、沖縄のかやぶきは基本的に似ているが、島々で材料は違うし、技術的に細かいところで地域ごとに適応した技術、工夫、多様性がある。それを記録し、できれば継承したい。地元保存会や教育委員会など関係者と連携し、どう残していくか方策を考えたい」と話した。

 

島内のかやぶき建造物を案内した根折高倉保存会(和泊町)の山下幸秀会長(72)は「世界のかやぶきを見て回っている組織に、島のかやぶきを高く評価してもらいありがたい。若い世代に価値を理解してもらい、今ある建造物を保存していくのが一番大事だと思っている」、9本柱の高倉が残る知名町住吉の奥村吉夫区長(67)は「高倉は字(集落)の宝。10年後にふき替える予定だが、これからも字民全員で大事にしていきたい」と話した。