時短終了に期待と不安 群島の飲食店関係者ら まん延防止解除

2022年03月06日

地域

店内を清掃する飲食店関係者=5日、和泊町

鹿児島県に出されていた新型コロナウイルス対策「まん延防止等重点措置」が6日で解除され、飲食店への営業時間短縮要請も同日で終わる。時短要請期間は、1月に緊急事態宣言が発令された奄美大島で同月11日から2カ月近く継続。県内他地域でも感染が拡大し、同月27日からは県全域が対象となっていた。久しぶりの通常営業再開に店主らからは、需要回復に期待する一方で、感染者の発生が続いていることなどから今後の先行きを心配する声も聞かれる。

 

奄美市名瀬で居酒屋を経営する50代男性は、1月11日から店を休んでおり、ようやく7日から再開する。男性は「協力金などがあるが、家賃や光熱費は店を閉めていても掛かり、厳しい状況は変わらない。まだ感染者が出ている状況なので、客足が戻るにはしばらく時間がかかるのでは」と話した。

 

徳之島町亀津で居酒屋を営む30代男性は「協力金だけでは従業員の確保や店の維持ができないためアルコール提供なしで営業を続けた。期間中の客の入りはそれまでの4分の1ほど。テークアウトの注文は多かったが忙しい割に利益は少なく、店を開けても閉めても地獄といった感じだった。解除はされても不安は消えない」と語った。

 

和泊町の居酒屋サケアンドアスカは、県の第三者認証を取得し、2月10日から時短営業を続けてきた。梁川拓也店長(27)は「島では休業する飲食店が多く、閉塞(へいそく)感のようなマイナスの雰囲気を感じていたので、島の人たちの心のよりどころをつくりたいと営業を続けた。満席になる日も数日あり、休業しなくて良かった」と話し、時短終了については「シンプルにうれしい。お客さんには時短中に開発した新メニューを楽しんでほしい」と需要の回復に期待した。

 

観光関係者からは「首都圏や関西圏のまん延防止措置が解除されないと本格的な回復は見込めないのでは」との声も聞かれる。

 

奄美大島観光協会会長で、龍郷町で「大島紬村」を経営する越間得晴さん(54)は「2、3月は例年、観光バスのツアーが良く動くのだが、コロナの感染拡大でキャンセルが相次いだ。売り上げが落ち込み、手元資金をやり繰りしてつないでいる状況。まだ先行きは不透明だが、(薬などの開発で)少しでも早く元の状態に戻ってほしい」と願った。