民間の力で子育て後押し 「沖永良部発信で充実を」 和泊町の子育て支援複合施設「SMAPPY」

2023年02月25日

地域

子育て支援の充実を目指し、活動するSMAPPYの新納代表(右から2人目)ら

和泊町の子育てや親子活動の拠点となる複合施設「SMAPPY(スマッピー)」が好評だ。2021年10月の開設以降、子どもが遊べる遊具を常設し、カフェも営業。利用者からは「雨天時に遊べる」「長時間開いているので利用しやすい」などの声があり、子育て世代が集うコミュニティーとして定着しつつある。運営するNPO法人SMAPPYの新納佳恵代表(36)は「ニーズの高さを実感している。沖永良部島発信で子育て支援が充実していく流れをつくっていけたら」と意気込む。

 

自身の子育て経験や周囲の声から「長時間対応できる、親子に寄り添った子育て支援施設」の必要性を感じた新納代表が中心となり、同法人を設立。元診療施設だった建物を借り、ボランティアの協力で清掃、改装して開設にこぎ着けた。

 

未就学児向けの遊具や絵本が楽しめる遊び場の開放、託児事業、子ども食堂のほか、親子で楽しめるものづくりワークショップ、保護者向けのヨガ教室などさまざまな活動を展開。22年2月には利用者の利便性向上や施設の運営費に活用する収益事業としてカフェをオープンした。平均して平日は1~2組、土日は5~10組が施設を利用。観光客や帰省客の利用もある。

 

利用者からは「同じ子育てをする人といれば話ができ、ほっとする」などの声もあり、子どもの居場所としてはもちろん、子育てに奮闘する保護者の孤独感やストレス解消の場にもなっているようだ。

 

同法人によると、設置している遊具は全て寄付。子どもが成長し、各家庭で不要になった服、絵本、おもちゃが続々と施設に届いている。転勤族などからは学校制服の寄付もあり、今後はおもちゃや絵本のレンタル、制服のリユースなども検討している。

 

一方、運営を継続していくに当たり、人材や資金確保など課題も見えてきた。現在の実働スタッフは4人。遊び場の清掃や見守り人員の充実、寄付物の整理・活用などを進めたいが、「手が回らな過ぎてそのままになっている状況」(新納代表)。現在ボランティアを募集中だ。

 

利用者増に伴い、新たな課題にも直面している。きょうだいでの利用も多い遊び場では、未就学児と力の差がある小学生が一緒に遊ぶと危険な場合も。やむなく注意すれば、小学生が思い切り遊ぶことができなくなってしまう。

 

同法人では2月11日からインターネットを介して資金を募るクラウドファンディングを開始。目標額の145万円を集めることができれば、施設内の空きスペースを活用して室内アスレチックを設置。小学生以上の子どもが安心して過ごせる居場所づくりを目指す。

 

新納代表は「沖永良部に限らずだが、子育て支援の弱さを感じている。すぐに解決できないのはこの1年で分かった。クラウドファンディングへの挑戦を通して、より多くの人に施設を知って関わってもらい、さまざまな意見を取り入れて充実させていきたい」と語り、理解と協力を求めた。