災害対策、進捗を確認 龍郷町で県の防災点検 支庁職員、県議ら視察

2022年05月28日

地域

災害対策工事が進む現場を対象に行われた県の防災点検=27日、龍郷町浦

災害対策を目的とした工事の進捗(しんちょく)状況を確認する県の防災点検が27日、龍郷町の現場2カ所を対象に実施された。県大島支庁職員や地元選出の県議会議員ら10人余りが参加。災害の未然防止や被害抑制を目指す事業の概要と現況について報告があり、防災意識を高めた。

 

防災点検は、災害時の迅速な避難誘導へ向けた情報共有などが目的。本格的な梅雨時期に合わせ、過去に発生した災害の被災概要や防災施設の整備状況を確認するもので、毎年、県内一斉に行われている。

 

今回の視察現場は、同町を流れる二級河川・大美川と、浦にある傾斜地の計2カ所。いずれの現場も、2010年の奄美豪雨などにより大きな被害が発生。大美川は氾濫して周辺の浸水被害につながり、浦の傾斜地では大規模な土砂災害が発生した。

 

被害発生を受けて県は10年以降、両現場で総合流域防災事業に着手。大美川では川幅拡張や堤防の新設、かさ上げを下流側から順次実施し、浦の傾斜地では地すべりの一因となる地下水を「横ボーリング工」で抜いた後、斜面の土を固定する「アンカー工」を進めている。

 

27日は、県大島支庁の担当者が点検対象の現場2カ所を案内。大美川では「赤土流出防止など周辺環境にも配慮し、計画的に進めている」、浦の傾斜地については「斜面の土の動きも計測しながら、継続的に工事範囲を検討している」などと説明した。

 

点検後、同庁の本一郎総務企画部長は「自治体と協議しながら工事を進め、自助・共助・公助の機能向上につなげたい」と総括。同行した県議会の向井俊夫議員(奄美市区)は「定期的な防災事業の点検は大事。安全安心な地域づくりへ、住民の声にも耳を傾け続けたい」と話した。