県事業で子ども食堂開催 親子連れや高齢者に50食提供 伊仙町

2022年12月11日

地域

来場した子どもに食事を手渡すスタッフ=10日、伊仙町伊仙

県の「子ども食堂の出張開催による居場所づくり支援事業」を活用した子ども食堂が10日、伊仙町伊仙の地場産食材直売所「ばあばいりばた市」であった。同町での県事業による子ども食堂は初めて。同直売所のスタッフ5人とNPO「かごしまこども食堂支援センターたくして」=鹿児島市=が協力してカレーライスなど50食を提供。地域の高齢者や親子連れが訪れ、食事を楽しみながら交流した。

 

同事業は、子どもの孤立防止のために、無料または安価で食事や団らんを楽しめる子ども食堂を県内各地に広げることが目的。

 

同NPOが県から委託を受け、2021年度から子ども食堂がない地域で食堂の立ち上げを支援している。奄美群島での開催は和泊町に続いて2例目。

 

同直売所は、地場産食材販売のほか総菜の仕出しなども手掛けており、同日は県から提供を受けた食材を用いてカレーライス、マカロニサラダ、デザートのグアバゼリーを50セット用意。訪れた家族連れや地域の高齢者に無料で振る舞った。

 

買い物のついでに訪れたという栄山ちゑさん(92)は「にぎやかな昼食を楽しめた。よく来る場所なのでまた来たい」と笑顔。家族6人で訪れた太杏心さん(6)は「苦手な野菜はないし、カレーは大好き。みんなで一緒に食べるとおいしい」と感想を話した。

 

同直売所の原根テル子代表(80)は「民生委員をしていた経験から、高齢者と子どもたちが孤立せずに触れ合える場所がほしいと思っていた。今後はフードバンクや町商工会などと連携し、月1回ペースで子ども食堂を開催したい」と展望を語った。

 

同NPOの神野友美理事(40)は「長寿・子宝の島だけあって地域で子どもを育てる土壌があるし、調理スタッフもそろっている」と同町の環境を評価。「子ども食堂の運営には無理をしないことが大切。様子を見ながら無理をせずに活動を続けてほしい」とエールを送った。