自然の見方、伝え方学ぶ 観察指導員講習会 奄美での開催は初 日本自然保護協会

2022年04月10日

地域

自然観察のポイントなどを学んだ講習会=9日、奄美市名瀬

公益財団法人日本自然保護協会(東京都)が認定する「自然観察指導員」の講習会が9日、奄美市名瀬の県立奄美少年自然の家で始まった。奄美での開催は初めて。県内外から41人が受講し、2日間の日程で自然観察のポイントや観察会の企画方法などを学ぶ。講師を務めた同協会代表理事の吉田正人・筑波大学大学院教授(世界遺産学)は「自然の仕組みや、人と自然の関係が分かる見方、伝え方を学んでほしい」と述べた。

 

自然観察指導員は、地域で観察会を開いて自然保護の大切さを伝えるボランティア。講習会は1978年から全国各地で開かれ、これまでに約3万人が受講した。奄美では世界自然遺産登録に伴う来訪者の増加を視野に2020年4月に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。

 

初日は開講式に続いて野外実習があった。参加者らは3班に分かれて施設内の森に入り、明るさや気温、音などの変化を体感。遊歩道を歩いてスケッチをしたり、落ち葉を観察したりしながら森の構造や、多様な生き物の役割などを学んだ。

 

吉田教授は「自然観察は森と親しくなる活動。物を知っている人ほど教えたくなるが、体験することで参加者の印象に残る。五感を使うことが大事だ」と呼び掛けた。

 

受講した奄美市笠利町の前田寿子さん(62)は農業の傍らエコツアーガイドとして活動している。「これまでは語って伝えているところがあった。一緒に自然を体感しながら伝える方法は勉強になった」と話した。

 

同日午後は奄美海洋生物研究会の興克樹会長、木元侑菜さんらを講師に講習があった。10日は野外実習があり、講習修了者に指導員の登録証と腕章が発行される。