豪雨被害の銀水洞、作業続く 復旧へ寄付呼び掛け 知名町

2023年09月10日

地域

銀水洞内のリムストーンプールで、泥水の除去作業に当たるケイビングガイド=7月上旬、知名町(提供写真)

6月下旬の線状降水帯による豪雨で、土砂が流入する被害があった沖永良部島・知名町の鍾乳洞「銀水洞」では、ケイビングガイドによる復旧作業が続けられている。被害箇所が洞窟奥深くのため、作業に携われるのは洞窟を熟知したガイドのみ。全て手作業で復旧のめどは立たないが、おきのえらぶ島観光協会ガイド部の東進一郎部会長(53)は「1日でも早く、元のきれいな洞窟内の景色を見られるようにしたい」と思いを話した。

 

被害があったのは入り口から約1・5キロにあるリムストーンプール(畦石池)で、各種メディアにも取り上げられた同島ケイビングの目玉スポット。6月の記録的な豪雨で水位が上昇し、雨がやんだ後もプール内には土砂混じりの水が残ったまま。銀水洞を使ったケイビングツアーは現在も中止されている。

 

被害確認後、ガイドが通常業務の合間を縫って復旧作業に当たっているが、作業場所まで歩いて片道1時間~1時間半。途中、人がぎりぎり抜けられるほどの狭い所もあり、電源を引いたり大型機材を入れたりするのも困難な状況だ。

 

東部会長によると、プールの泥水を除去しても、鍾乳石がライトアップによる本来の輝きを取り戻すには自然回復を待つしかなく時間がかかるとし、「ガイド歴12年の自分でもこのような被害は初めて。長い年月をかけてつくり上げられたもので、もう元には戻らないのではないかという専門家の意見もあったが、ガイドたちでできることから始めようと作業を続けている。洞窟が好きで、きれいな状態を1人でも多くの人に見てほしいという思いがみんなを突き動かしている」と力を込めた。

 

知名町はふるさと納税のシステムを利用したガバメントクラウドファンディング(GCF)を立ち上げ、復旧作業への支援を呼び掛けている。受付期間は12月3日まで。寄付金は復旧作業従事者への手当や必要な資材費に充てられる。同GCFサイトはhttps://www.furusato-tax.jp/gcf/2527