過疎化深刻「避難検証を」 大和村JMATが報告 能登地震支援

2024年03月05日

地域

輪島市門前町での活動を報告する小川信医師(左)らJMATのメンバー=4日、大和村防災センター

国民健康保険大和診療所(大和村)の医師らで構成する日本医師会災害医療チーム(JMAT)は4日、大和村防災センターで、能登半島地震の被災地で行った医療支援の活動報告会を開いた。同診療所の小川信医師(49)は震災後の町の状況に触れ、町外に避難した多数の住民が今後、戻ってこなくなる可能性も懸念。「(地域外への)避難が本当に良かったのか、検証が必要だ」と話した。

 

JMATの活動は、災害発生初期の救急医療対応に当たるDMAT(災害派遣医療チーム)撤収後に、引継ぎを受けて被災地の医療体制を復興するのが任務。大和村からは小川医師のほか、大和消防分駐所救急救命士の中島繁さん(45)、大和診療所看護師の元山淳子さん(40)、大和村保健福祉課保健師の藤村まりなさん(28)が派遣された。

 

4人は2月8日に出発し、10日から12日まで、石川県輪島市門前町(人口4618人)の被災地で活動。▽全国から派遣されてくるJMATへの対応▽他業種との連携▽寝たきりで起こる床擦れ治療のマニュアル作り▽在宅医療の立ち上げ―などや、各隊員の専門性を生かした活動を担ったと報告した。

 

小川医師は、多くの人々が金沢市以南へ避難したことから、町の高齢者が減り、病院・施設が減少、若い人の働く場が無くなりインフラが減少して生活が困難になる―といった、将来各地で起こることが門前町では短期間で起きたと報告。避難者らが町に戻らなくなる可能性を指摘し、地域外への避難の在り方について検証が必要と強調した。

 

中島さんは消防職員の視点で被災地の課題を報告。平時の想定避難訓練を継続して行うことの重要性や、その避難ルートが通れない場合の「想定外訓練」の必要性を訴えた。

 

元山さんは、床擦れの患者に支援チームが高度な治療を行った結果、職員の仕事量が増加し限界状態となっていた事例を報告。「支援チームが良かれと思い行ったケアが良い結果につながるとは限らない。ニーズに合わせた支援が必要」と述べた。

 

藤村さんは避難所を巡回し、「日ごろから住民を知り、関係機関と顔の見える信頼関係をつくっておくことがスムーズな支援につながる」と報告した。

 

報告会に参加した大和村恩勝の元山安雄さん(76)は「大和村も人口減が進む中、この地形の条件からどう避難するのか心配になった」と話した。