金作原、利用ルール実証実験=奄美大島利用適正連絡会議

2018年02月01日

地域

一般車両の規制など利用ルールの実証実験を予定している金作原=奄美市名瀬

一般車両の規制など利用ルールの実証実験を予定している金作原=奄美市名瀬

  奄美大島利用適正化連絡会議の会合が31日、奄美市名瀬の県大島支庁会議室であった。関係者ら約40人が出席。今年夏を見込む世界自然遺産登録による観光客の増加を見据えて、同市名瀬の金作原国有林周辺で利用ルールを設ける実証実験の具体策を承認した。期間は2月16~22日の1週間。一般車両の乗り入れを規制し、利用者に認定ガイドの同行を求める。同時間帯のガイドの車両台数は8台、駐車時間は120分とする上限を設定した。

 

 金作原一帯は天然の亜熱帯照葉樹の森に多様な動植物が生息・生育し、世界自然遺産の候補地となっている。国有林内を横断する金作原林道は、市街地からも近く、奄美大島を代表する自然観察スポットとして人気が高い。訪れる観光客は年々増加している。

 

 会議は環境省、林野庁、県、奄美市と警察、自然保護団体、観光関係者らで昨年2月に設置。金作原の自然環境の保全を図りながら、観光客が質の高い自然体験をできるように、利用ルールの導入に向けた対策を協議している。本年度の開催は2回目。

 

 実証実験で車両の通行を規制する区間は、金作原林道への主要ルートとなっている市道奄美中央線の林道入り口から東西各1・5㌔と、市道奄美中央線と麓の知名瀬集落を結ぶ林道知名瀬線、農道合わせて6・3㌔。

 

 期間中の終日、一般車両の乗り入れを規制する。事前に登録した奄美群島エコツーリズム推進協議会の認定ガイド、貸し切りバスは利用できる。同時間帯の貸し切りバスは2台まで。ガイドと合わせた車両の上限は計10台。ガイド1人当たりの案内人数は15人以下とした。利用の受付窓口はあまみ大島観光物産連盟が担い、インターネット上のスケジュール表を活用して関係者間で情報を共有し、利用の調整を図る。

 

 期間中は金作原林道入り口、知名瀬集落側の入り口の2カ所に関係機関の職員を配置するほか、名瀬市街地から金作原にアクセスする県道沿いなど計10カ所に看板を設置し、周知する。

 

 実験ルールに法的拘束力はない。期間中も関係機関や道路管理者、緊急車両、森林施業や農作業のための車両は通行できる。

 

 期間中の車両入り込み台数や利用者数、利用者へのアンケート調査などから実験の効果を検証し、本格実施に向けた課題を探る。

 

 県自然保護課の大西千代子奄美世界自然遺産登録推進室長は「実験結果を踏まえて、関係者の合意が得られる利用ルールづくりに向けて協議を進める」と述べた。