8月の救急出動、過去最多 大島地区消防組合 コロナ関連で増加、不適切利用も

2022年09月09日

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8月の救急出動が過去最多を記録した大島地区消防組合=6日、奄美市名瀬

9月9日は「救急の日」。鹿児島県の大島地区消防組合では、今年8月の救急出動は過去最多の549件(前年同月比162件増)に上った。新型コロナウイルス関連の出動が多くを占める一方、自身で通院できる症状で救急車を呼ぶ「不適正利用」も依然として減らない。同組合は「限られた医療資源を有効活用するために、適切な利用を」と協力を呼び掛けている。

 

新型コロナ関連の8月の救急出動は168件。前年同月の13件から155件増えた。自宅療養中に体調悪化を訴えるケースも少なくない。高齢男性が自宅療養となった3日目に呼吸苦を引き起こし病院に搬送された例もあった。

 

救急隊員は感染対策として全ての出動に上下の感染防護服、高機能マスク2枚、ゴーグルを装着。防護服の下には熱中症を防ぐための「冷却ベスト」も備えている。

 

8月は熱中症で搬送される患者も前年の8件から16件に増加。「暦の上では秋でも油断せず、室内で汗ばむようならクーラーをつけるなどの工夫を」と同組合は呼び掛ける。

 

一方で「便利だから」「優先的に受診できる」「酒の飲み過ぎで病院へ行けない」などの理由で救急車を呼ぶ軽率な通報がなくならない。出動が重なると管轄外の消防署から現場に向かうこともあり、一刻を争う症状を訴える人の搬送が遅れる事態につながりかねない。

 

全国消防協会が発行しているポスターによると、すぐに119番が必要な症状は▽激しい胸の痛み▽意識がない▽交通事故で強い衝撃を受けた▽突然の激しい頭痛―など。そのほか、消防庁が発行する「救急車利用マニュアル」には、高齢者、大人、子どもに分かれて緊急を要する症状が細かく記載されている。

 

同組合消防本部警防課救急係長の和田賢昌さん(39)は「あらかじめ防げるけがや病気は予防に徹していただければありがたい。ただ、命に関わる場合は迷わずに119番通報を。電話での口頭指導もできるので、困ったときには相談してもらえたら」と話した。