恩師の写真胸に応援 突然の別れ乗り越え 野球部保護者会

2022年07月25日

社会・経済 

平原さんの写真を手に高校野球鹿児島大会の大島-鹿児島実業の決勝戦を見守る武田さん(左)ら保護者会メンバー=24日、鹿児島市の平和リース球場

「恩師も選手たちの姿を見たかっただろう」-。高校野球鹿児島大会の決勝戦に出場した大島ナインを応援しようと24日、多くの人でにぎわった三塁側スタンド席。野球部保護者会のメンバーが座るベンチには、二つの写真立てときれいに畳まれたTシャツが置かれていた。

 

武田涼雅主将の父・英樹さん(48)によると、写真の中で笑顔を見せるのは、奄美市名瀬の朝日中学校出身の武田主将、前山龍之助選手、青木蓮選手らの当時の野球部監督の平原直記さん。昨年11月末に急逝し、大島の甲子園出場や今大会の快挙を見届けられなかったという。保護者会は平原さんの妻から写真と生前着用していたTシャツを預かり、毎試合を共にしてきた。

 

写真立ての一つは平原さんのスーツ姿、もう一方は平原さんが朝日中の野球部監督時代に生徒らを指導する姿が写っている。

 

親交のあった英樹さんは、決勝戦で大島が苦しい展開に追い込まれた場面には「直記頼む」と写真を手にし、生徒らの健闘を祈っていた。

 

「直記は(指導の際に)ずっと大声を張り上げているような元気のいい人だった。昨年11月の九州大会までずっと大高の応援に来ていたが、大会の2週間後に突然亡くなった。当時はショックも大きかったが、今はこうして一緒に活躍を見守れていると感じる」(英樹さん)。