根絶宣言9月ごろに マングース防除事業検討会 奄美大島

2024年02月28日

社会・経済 

マングース根絶に向け確認作業や今後の取り組みを協議した検討会=27日、奄美市名瀬

奄美大島のマングース防除事業検討会(座長・石井信夫東京女子大学名誉教授、委員5人)が27日、奄美市名瀬の奄美川商ホールであった。マングースの捕獲は2018年4月以降ゼロの状態が続いており、今後モニタリング調査などのデータを基に、根絶の可能性を科学的に判断する。委員会は「23年度末までにマングースが確認されなければ根絶と仮評価できる」として、9月ごろに根絶宣言を行うとした。

 

奄美大島で捕獲されたマングース(参考写真)

23年度の事業報告(12月末現在)によると、マングースは捕獲されず、探索犬や島内全域に設置した自動撮影カメラによるモニタリング調査でも痕跡は確認されていない。23年4月から24年1月末までに住民から目撃情報と家畜被害情報が4件寄せられ、自動撮影カメラや探索犬、DNA分析などによる調査を行ったが、マングースの生息は確認できなかった。

 

マングースの防除に伴って在来種の生息状況は回復傾向が続き、特にアマミトゲネズミやルリカケスは前年度より大幅に増加した。一方、外来種のノネコやノヤギの増加や、アマミトゲネズミとケナガネズミの混獲死などが課題として指摘された。

 

奄美大島でのマングース根絶の判断に向け、根絶確率を算出する2タイプの数理モデルが完成したと報告された。24年3月末までのデータを加え、8~9月に予定している検討会で根絶成否の評価を行う。

 

石井座長は「防除作業継続による根絶確率の上昇率と、在来種の混獲状況などを踏まえ、適切なタイミングと判断した。海外の島しょ部でも同様の事例があるが、奄美大島の規模でのマングース根絶は世界初の事例だ」と述べた。

 

検討会では根絶後の外来種の監視体制や、防除の経験と技術を持った人材の活用、わなの撤去作業などが課題として挙げられ、新たに外来哺乳類侵入・定着防止管理計画(仮称)の素案が提出された。

 

奄美大島のマングースは1979年にハブやネズミの駆除を目的に放され、急速に分布域を拡大。アマミノクロウサギなどを襲って生態系に深刻な影響を及ぼした。環境省は2000年に駆除に着手し、捕獲総数は約3万2千匹。