蘇生措置の質 向上図る 消防と医療機関が共同検証 龍郷町

2025年03月23日

社会・経済 

検証のために行われた救急隊の蘇生措置訓練=19日、龍郷町りゅうがく館

救急搬送時の蘇生措置に焦点を当てた「ECPR(体外循環式心肺蘇生法)適応症例における救急活動検証会」が19日、龍郷町のりゅうがく館であった。大島地区消防組合龍郷消防分署の消防隊員、県立大島病院の医師ら約20人が参加してダミー人形を用いた訓練を実施。訓練の模様を映像で振り返りながら詳細に改善点を洗い出すとともに、消防と医療機関の連携強化も図った。

 

ECPRは人工心肺を用いて心肺停止状態の患者に施す治療。検証会はECPRの効果を最大限に生かすための救急搬送時の蘇生措置の質の向上と関係機関の連携強化を目的に同分署が主催した。

 

訓練は心肺停止状態の高齢男性を発見した家族がAED(自動体外式除細動器)を用いて救命措置を行っているという想定で開始。心臓マッサージを継続しながら救急車に乗せて搬送するまでの一連の対応を確認した。

 

訓練で使用したダミー人形には各種センサーが付けられており、心臓マッサージで胸を押し込む深さや回数などを秒単位で記録。参加者は訓練の様子を録画映像で振り返りながら、心臓マッサージを中断したり、不十分だった箇所をチェックしたりして、より質の高い蘇生措置を継続するための改善策を探った。

 

同分署の森一郎救急係長(42)は「いち早く病院に搬送することが最重要だが、搬送までに適切な措置を取ることで患者の社会復帰の可能性を高められる。龍郷の地理的条件も含めた対応の在り方を探る貴重な機会になった」と検証会を振り返り、「重症者を発見した際の対応など、救急隊が到着するまでの措置も重要。一般の人もいざという場面で適正な対応を取れるように講習会などで周知を図りたい」と語った。

 

検証会に協力した県立大島病院救命救急センターの中村健太郎センター長(40)は「現場でどれほど時間をかけて蘇生措置を取るかは、搬送までの時間など地理的な条件で最適解が異なる」と説明し、「患者の社会復帰を支えるためには関連機関が同じ目標を持つことが大切。地域条件まで考慮して検証できたことは全国的にも先進的な取り組み」と評価した。