陸自訓練は中止に 米軍機飛来も、降下なし 喜界島
2024年03月08日
社会・経済
陸上自衛隊第1空挺(くうてい)団(千葉県)が7日に喜界島で予定していたパラシュート降下訓練は、米軍横田基地(東京都)からのC130輸送機計6機が飛来したものの、島上空の風が強く、規則で降下可能な風速とならなかったため中止された。8日の市街地戦闘訓練も実施しない。9日は喜界町体育館で装備品展示を行う。
降下予定地を見渡せる同町長嶺の通称「一本道」には午後0時半ごろ、訓練を見学しようと80人以上の住民が集まった。同町小野津の70代女性は、空挺団に所属する孫の搭乗機が、島上空を繰り返し旋回する様子を見守った。「5年くらい会っていない。奇跡としか言えない」と涙ぐみ「顔が見られず残念だが、きっと手を振っているのは見ていたと思う。頑張ってしっかり任務を果たしてほしい」と話した。
陸上幕僚監部広報室によると、訓練は島しょ部攻撃などへの抑止および対処の実効性向上が目的。自衛隊所有機の数が限られるため米軍機を活用し降下回数を増加し、技量向上を図る。国内における米軍機からの降下訓練は今年度5回目で、1~4回は習志野演習場(千葉県)や東富士演習場(静岡県)で実施した。
7日は午前9時47分に横田基地を離陸した米軍機計6機が午後0時45分すぎから順次、喜界島上空に飛来した。空挺降下を予定していた隊員は計300人。隊員の技量向上を図るとともに、有事の際には同基地から約3時間で大規模兵力を空から投入できる能力を示す狙いがあると見られる。