「毎年恒例になるのでは」 陸自訓練、見守る住民 喜界島

2024年03月08日

社会・経済 

島の上空を飛行する米軍輸送機と見守る地域住民ら=7日、喜界町長嶺

喜界島で2年連続となった自衛隊唯一の落下傘部隊「第1空挺(くうてい)団」の降下訓練。今回予定された訓練は中止となったものの、7日は降下予定地に多くの住民が訪れた。機内にいる家族を思う人、複雑な表情で見詰める人、ショーを見学するように笑顔で手を振る人。さまざまな表情で島の上空を飛行する輸送機を見送った。町は今後も訓練に協力的な姿勢を示し、住民からも「訓練は毎年恒例になるのでは」との声が聞かれる。

 

同町荒木の4歳の女の子は米軍機を見送り「めっちゃかっこよかった」と真剣な表情。母親の40代女性は「訓練は必要だと思う」と話した。湾の60代男性は「訓練を自分の目で見なくちゃいけないと思ったんだよね」、伊実久の70代女性は「やっぱり来年もやるのかしら」とつぶやいた。

 

同町中間の男性(69)は「いつでも戦争をやれる、という雰囲気づくりをしていると感じる。有事で巻き添えになるのは住民。戦争にならないためにどうするか、それを皆が考え話し合うべき」と声を上げた。7日、降下予定地周囲では横断幕を掲げ、訓練反対を訴える地元住民の姿もあった。

 

一方「観光に生かせばよい」との発想も。伊実久の60代男性は「キビ畑の作業繁忙期は配慮してほしい」とした上で「降下訓練が毎年恒例になるのであれば、観光に生かすこともできるのでは。他では見られない景色だ」との意見を示した。空挺団が毎年1月に習志野駐屯地(千葉県)で行う「降下訓練始め」には今年、約9千人が来場した。

 

町は訓練に先立ち、訓練日時、場所を記した案内紙の全戸配布やホームページ掲載、防災無線など、情報周知を積極的に行った。隈崎悦男町長は「情勢を踏まえれば離島での訓練は重要。だからこそ住民に不安を与えないよう、案内していくことが大事と考えている」と語り「まずは地元が『自分たちの島を守っていく』という意識を持つことが大切。そのために経済をどう回すか考えていくのがわれわれの仕事。いざという時は自衛隊が島を守る。その訓練に協力するのは当然と考えている」との姿勢を示した。