イベント、行楽地にぎわう ホテル、レンタカー好調に推移 夏に向け、感染拡大の懸念も 奄美のGW

2022年05月10日

社会・経済 

家族連れや観光客でにぎわった奄美パークのイベント会場=5日、奄美市笠利町

最長10連休となった2022年のゴールデンウイーク(GW)。3年ぶりに緊急事態宣言などによる移動制限がない中、奄美群島の行楽地は多くの人でにぎわい、期間中に行われたイベントも盛況だった。ホテル予約やレンタカーの利用も好調に推移した。一方、観光関係者からは、今後の夏のレジャーシーズンに向け、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念する声も聞かれた。

 

【行楽イベント】

昨年に比べ、群島各地でイベントが数多く開催された。5日に「あまみっ子フェスタ」が行われた県奄美パーク(奄美市笠利町)のGW期間(10日間)の入場者は、前年比約1・8倍の4464人。同パークの西昭一朗事業課長は「5日は親子連れを中心に1千人余りが来場するなど、コロナ禍以前に戻った印象。島の文化、伝統芸能の発信拠点として、今年は感染対策を徹底した上で着実にイベントを開ければ」と語った。

 

徳之島では2~4日、伊仙町の徳之島なくさみ館で闘牛大会があり、4日の全島一優勝旗争奪戦には約3千人の観客が詰め掛けた。

 

徳之島闘牛連合会事務局の担当者は「コロナ禍以前とまでは言えないが、熱気は取り戻しつつある」と手応えを語り、「応援団の人数制限やマスク着用を徹底し、出場する陣営にも大会前後の宴会や祝勝会を制限した」と大会運営上の感染対策も強調した。

 

【レジャー】

曇りがちな連休となったが、3密を避けながら楽しめる山や海での屋外活動などが人気を集めた。

 

昨年のGWには完全閉鎖していた大和村の奄美フォレストポリスでは、3~5日は宿泊棟がほぼ満室となるなど、キャンプ場を中心ににぎわいが戻った。管理者側は「島内からの家族連れは園内の遊具、島外客は周辺の自然散策などを楽しんでいた」と振り返った。

 

沖永良部島でダイビングとケイビング(洞窟探検)のガイド業などを営むシードリーム沖永良部の東進一郎代表は「連休中は予約でいっぱい。問い合わせもコロナ前の8割ほどに戻った」と声を弾ませた。「例年に比べ、県内の利用客が多く、県の旅行割引事業の効果があったのでは」とも話した。

奄美海上保安部によると、GW期間中に海の事故などは確認されていない。

 

【レンタカー・宿泊】

ホテルなどの宿泊施設とレンタカーの利用率も好調だった。奄美空港前などに営業所を構える奄美ラッキーレンタカーの田畑敬一郎事業部長は、「客足はかなり回復し連休中は在庫がなくなるほど。北海道の観光船事故の影響なのか、利用客に提供しているライフジャケットの無料貸し出しが人気だった。今後も観光客への安全対策を行いながら夏の本番に備えたい」と話した。

 

龍郷町にあるホテルカレッタ奄美の並木太伸支配人は「緊急事態宣言が発令されたおととしは壊滅的。昨年も例年の6割ほどと厳しい状況だったが、今年は3月ごろから利用が回復し、GWはコロナ以前と同じくらいに戻った。夏の予約も例年と同程度埋まっている」とほっとした様子。一方、「(島内で感染者が増えており)スタッフとその家族の健康や、感染によって営業に支障が出ることが心配」と不安も口にした。