クルーズ船4年ぶり寄港 乗客120人、大島南部観光 瀬戸内町古仁屋

2023年05月26日

社会・経済 

フランス船籍のクルーズ船「ル・ソレアル」の出港を見送る地域住民ら。古仁屋港へのクルーズ船入港は約4年ぶりとなった。=25日、瀬戸内町古仁屋

フランス船社ポナンの高級クルーズ船「ル・ソレアル」(1万992トン)が25日、瀬戸内町の古仁屋港に初入港した。同港へのクルーズ船寄港は2019年4月の「にっぽん丸」(2万2472トン)以来約4年ぶりで、国際クルーズ船の入港は新型コロナウイルスの感染拡大後、初めて。南薩観光(本社・南九州市、菊永正三代表取締役社長)による9日間の貸し切りクルーズの一環で、22日に福岡・博多港を出港し鹿児島県内の離島と長崎、韓国を巡る。乗客約120人は奄美大島や加計呂麻島での観光を楽しんだ。

 

多くの乗客や乗組員でにぎわったクロマグロの解体ショー=25日、瀬戸内町古仁屋の「せとうち海の駅」

南薩観光の東園妃佳里取締役CMO(最高マーケティング責任者)によると、クルーズ船を貸し切っての主催旅行は初めて。アフターコロナを見据え、リタイア後の富裕層を主なターゲットとしている。きめ細かいサービス提供のためラグジュアリークラスの中型クルーズ船を選択。寄港地も離島を厳選し、大型船の入港イメージが少ない古仁屋港を選んだ。乗客の9割以上は日本人で、全国各地から参加している。

 

船内のダイニングでは黒毛和牛など鹿児島の特産物を提供。焼酎ソムリエによる講座も開かれ、クルーズを通し、船内外で寄港地の魅力を感じてもらう企画が行われている。

古仁屋港での入港歓迎セレモニーには、ピエール・マリー・デュコルノ船長や鎌田愛人瀬戸内町長らが出席。記念品交換や瀬戸内産パッションフルーツの進呈が行われた。

 

乗客はカヌー体験や瀬戸内町島案内人協会による街歩き、加計呂麻島での滞在を満喫。せとうち海の駅では約70キロのクロマグロの解体ショーがあり約80人の観客でにぎわった。

 

昨年金婚式を迎えたという富山県の堀田勉さん(81)、順子さん(76)夫妻は新婚旅行以来、50年ぶりの2度目の奄美大島。当時の思い出に触れつつ「カヌーは思うように行かなかったが楽しかった。マグロも最高」と笑った。クルーズライターとして書籍出版やテレビ出演などクルーズ旅行普及に活躍する上田寿美子さん(69)は「日本語の安心感がある中で国際交流も楽しめ、異次元の世界に来ているよう。船尾のバーから見たフランス国旗越しに広がる奄美の自然に、とても感動した。日本は美しいと胸を張って多くの人に伝えられる」と話した。

 

出港時は島唄や八月踊りで地域住民らが盛大に見送った。同船は26日、喜界島の湾港に寄港する。