シラヒゲウニの種苗生産学ぶ 奄美群島漁業振興大会 奄美市

2023年02月01日

社会・経済 

シラヒゲウニの種苗生産や魚食普及などに理解を深めた奄美群島漁業振興大会=31日、奄美市名瀬

奄美群島水産振興協議会(奥田忠廣会長、奄水協)主催の奄美群島漁業振興大会が31日、奄美市名瀬の集宴会施設であった。奄美各地の漁業者や水産行政担当者ら約80人が出席。奄水協の委託を受けて瀬戸内漁業協同組合が取り組み、今年度奄美群島で初めて成功したシラヒゲウニ種苗生産の事例発表もあり、参加者は生産時の注意点や施設体制など、生産手法について理解を深めた。

 

奥田会長はあいさつでシラヒゲウニの種苗生産について言及し「公益財団法人かごしま豊かな海づくり協会に委託している種苗生産が22年度に終了する。23年度は種苗生産に成功した瀬戸内漁協で行うが、24年度以降は各漁協で生産することが決まった。各市町村と協議して種苗確保に努めてほしい」と述べた。

 

瀬戸内漁協の栄陽樹さんがシラヒゲウニの種苗生産について報告した。ろ過装置の導入による水質確保や水温の安定、給餌方法の見直しなど、条件を変えて13回目の試験で稚ウニ確保に成功した過程を説明。24年度以降は各漁協で生産に取り組むことから「23年度に手法をマニュアル化し、技術普及を図りたい」と意気込んだ。

 

県大島支庁林務水産課の宍道弘敏さんは、水温と漁獲量の関係をテーマに講演した。奄美海域に生息するシラヒゲウニ、ヤコウガイ、スジアラの漁獲量が、いずれも平年より海水温が高い年に減少している相関データを示し「海水温の変化が漁獲量に影響している可能性がある」と指摘。

 

今後、温暖化に伴う海水温上昇でさまざまな魚種の生息域が変化する可能性にも触れ「自然の前に人は無力で、気候変動に適応するしかない。今ある資源を大切に利用して鮮度を保つ工夫によって量より質を重視するとともに、消費者ニーズを把握するなどして高く売る工夫を」と呼び掛けた。

 

このほか、瀬戸内漁協女性部の安倍美穂部長が魚食普及や未利用魚種を活用した加工品製作、いしょむんネットワークの徳田謙治会長が奄美群島近海で漁獲される水産物のPRの取り組みなどについて発表した。

 

各種被表彰者は次の通り。(敬称略)

▽漁業貢献者 東善一郎(沖永良部島漁協)▽技術改善 栄陽樹(瀬戸内漁協)▽永年勤続役職員 米田みき、川島忠幸(以上瀬戸内漁協)中田信幸(宇検村漁協)白間勇樹(名瀬漁協)西鉄也、土濵裕二(以上奄美漁協)