一定規模の建築物届け出制に 景観計画の運用を開始 奄美市

2023年04月05日

社会・経済 

おがみ山から臨む名瀬市街地の景観=4日、奄美市名瀬

一定規模の建築物や工作物の建設などを届け出制とすることなどを盛り込んだ「奄美市景観計画」の運用が1日から始まっている。計画は市独自の自然や歴史文化を生かした景観づくりの指針。良好な景観を保全・形成し、未来への財産として引き継ぐため基本的な方針や基準を設けている。

 

同市は2011年10月に景観計画の運用が可能となる「景観行政団体」へ移行。18~19年度に同計画策定委員会や審議会を開催。市民ワークショップ、各種団体などを対象にした説明会を重ね、計画案をまとめた。

 

当初は20年度運用開始予定だったが、景観計画とも関連がある世界自然遺産登録時期が延期となったため、策定時期も22年度にずれ込んだ。

 

計画対象は市内全域。名瀬の中心市街地43ヘクタールと、埋め立て地のマリンタウン地区8・7ヘクタールは「特別景観区域」。それ以外は「一般景観区域」。

 

届け出の対象となる行為は▽建築物の建築▽工作物の建築▽公有水面の埋め立て▽土地の開墾▽木竹の伐採│など。建築物の場合、一般景観区域では「高さ10メートル以上」か「延べ床面積500平方メートル以上」が対象となる。

 

名瀬市街地特別景観区域は、市街地の活性化やにぎわいの創出に向けた景観形成実現のため、届け出の対象規模などを一般景観区域よりも緩和。建築物の場合、「高さ20メートル以上」か「延べ床面積1500平方メートル以上」としている。

 

建築着手の30日前までに、市へ届け出が必要。届け出対象の行為は「景観形成基準」を守る必要がある。

 

景観形成基準は「おがみ山から臨み、市街地を囲む山や名瀬湾の海面への眺望を著しく阻害しない高さとする」など建築物の配置、高さ、外壁や屋根の色彩などについて独自の基準を設けている。

 

既存の建築物などは改めて届け出を行う必要はないが、今後、増築や改築、移転、外観の変更などを行う際は、届け出や景観形成基準順守の対象となる。

 

市企画調整課の担当者は「建築などの行為を規制するというより、今ある景観を守るという点に主眼を置いた計画で、制度も他自治体と比べると、やや緩いものになっている。計画が、今ある景観を未来へ引き継いでいく意識醸成につながれば」などと説明した。

 

同計画や届け出に関する事前相談などの問い合わせは電話0997(52)1111奄美市企画調整課。