不登校生らの就労支援へ 「JIBUNいろ」設立 奄美市

2022年10月10日

社会・経済 

「JIBUNいろ」を設立した(左から)原田さおり代表理事、恩田昭美代表取締役

奄美大島で貧困に苦しむ子どもたちを支援する「一般社団法人居場所づくり支援事業Um(うむ)」(奄美市、原田さおり代表理事)と、全国でソーシャルビジネスを展開する「株式会社Beyond One」(福岡市、恩田昭美代表取締役)は7日、15歳以上の不登校生らの就労支援を目的とした「一般社団法人JIBUNいろ」=奄美市名瀬=を設立した。義務教育を終えた子どもたちが社会に巣立つまでの新たな居場所として、生活の自立や就労に向けたサポート体制の構築、支援に取り組む。

 

原田代表(51)は元スクールソーシャルワーカー(SSW)で、奄美市内の中学校で勤務する中、貧困や不登校などの問題を抱える子どもたちが卒業後に行き場を失う問題と直面。地域での〝居場所〟づくりとして、2019年に小売店「楽笑(らくしょう)」を開業し、21年には貧困世帯の子どもたちに食事や物資を提供する「Um」を立ち上げた。

 

「JIBUNいろ」の設立は、SSW時代を含む約10年の活動を通して新たに生じた子どもたちの就労準備やキャリア形成、金銭管理などの課題を、寄付金などの外部資金だけに頼らず、ソーシャルビジネスとして解決する狙い。原田代表は「一般的に生活困窮世帯へのサポートは生活保護制度にとどまる印象だが、社会問題をビジネスとして取り組むことで、自立に向けた持続的な支援活動へとつながる」と述べ、課題解決の糸口に企業との連携、協力を挙げる。

 

地域企業への伴走型支援も手掛ける恩田代表(54)は「内部だけでは答えが出ないことも外部のエネルギーやノウハウを掛け合わせることで解決することは多い。島外の力や技術、人脈を活用し、『働くを選択できる』『自分らしく生きる』を創出できる場所にしたい」と話す。

 

法人名には、十人十色の子どもたちが「自分の色(特性)が見つけ出せるように」「やりたいこと(職)にたどり着くように」との願いが込められた。