低空飛行、22年度92件目撃 群島では奄美市のみ27件 おおむね米軍機の可能性 県危機管理防災局

2023年04月19日

社会・経済 

名瀬佐大熊町の上空を飛行する輸送機オスプレイ=2022年12月9日午後3時ごろ、奄美市名瀬長浜町の南海日日新聞社から撮影

県危機管理防災局は、2022年度に住民や自治体から寄せられた、県内での航空機低空飛行の目撃件数をまとめた。22年度は92件で、過去3番目に多かった。奄美群島では27件で、すべて奄美市内の目撃情報。同局は航空会社や自衛隊で確認できない情報を九州防衛局経由で米軍に照会しており、4~12月の72件のうち69件は米軍機の可能性があるとしている。奄美市は27件中、24件が米軍機の可能性があるという。

 

県は06年度から県内の目撃情報をまとめ、毎年公表している。

 

22年度の市町村別は日置市29件が最多で、次いで奄美市と鹿児島市各27件だった。奄美群島の目撃件数は、20年度98件(奄美市90件)、21年度50件(同46件)と推移している。

 

奄美市危機管理室によると、22年度は名瀬市街地西部の下方地区で多く目撃されている。目撃時間帯はばらつきがあるが1~3機で飛行し、日中に寄せられた情報のほとんどは輸送機オスプレイと見られるという。担当者は「報告件数が減っていることも考えられるが、20~21年度に比べ実際の飛行数も減少していると感じる」と話した。

 

日本の航空法は人口密集地の場合、最も高い建物の上端から300メートルを「最低安全高度」と定めているが、日米地位協定に伴う航空法特例法(1952年制定)で米軍は適用除外とされている。低空飛行は各地で相次いでおり、全国知事会は住民の不安払拭(ふっしょく)や民間航空機の安全確保のため、米軍に対し国内法適用や訓練事前連絡を求めるよう、国に提言している。

 

県危機管理課は「住民の安心・安全確保の徹底について米軍側に申し入れるよう、九州防衛局に要請している」と述べた。