免許失効後にマリンT売却 奄美市開発公社 安田理事長陳謝「注意不足」

2022年01月25日

社会・経済 

免許失効の経緯を説明し、陳謝した安田理事長(左から2人目)ら=24日、奄美市名瀬

奄美市の名瀬港本港地区(マリンタウン地区)整備事業を行っている奄美市開発公社(理事長・安田壮平市長)が、土地取引に必要な県の免許を6年前に失効したまま土地の一部を売却していたことが24日、分かった。市役所で会見した安田理事長らによると、失効後の売買契約は従来通り有効。ただし今後5年間は免許取得ができないため、残区画は近く市へ無償で寄付し、市が土地取引を行う。安田理事長は「実際の被害は生じないと考えている。免許更新事務の注意不足で関係者に心配を掛けたことに心からおわび申し上げる」と陳謝した。

 

同公社によると、土地取引を行うには県から宅地建物取引事業者の免許を取得する必要があるが、2016年7月14日に失効したまま更新していなかった。

 

事実が判明したのは、市長選後の理事長交代に伴い、宅地建物取引事業者の変更手続きを行っていた昨年11月16日。この間に行った土地取引は宅地建物取引業法に違反する恐れがあるとして、最後の営業行為から5年後の26年10月まで免許申請ができないという。

マリンタウン地区整備事業は、本港地区の中央埠頭(ふとう)から旧商港区を締め切って埋立地を造成する大規模事業。分譲地は全19区画あり、これまでの公募で4件(計6区画)の売買契約を締結した。

 

免許失効後に行った契約は、この4件と、その他3件の計7件が該当するが、契約有効と確認したという。

 

再公募で決まった契約候補者7事業者計9区画を含む残り13区画に関しては、寄付を受けた市が土地処分を行う方針。同席した弁護士によると、地方公共団体の市は宅地建物取引業の免許が不要。安田理事長は「今後市で対応していくことで、実際の損害は生じないのではないかと考えている」と話した。

 

同公社は1965年11月に市の100%出資で設立された第三セクター。住宅用地の取得や造成、譲渡などのほか、奄美文化センターや名瀬運動公園などの管理運営を行っている。