地元産人工ウナギに舌鼓 新日本科学が試食会 和泊町

2023年05月19日

社会・経済 

沖永良部島産人工ウナギを使った料理を試食する参加者=18日、和泊町の飲食店

ニホンウナギの完全養殖を目指し、沖永良部島で研究を進めている新日本科学(本店鹿児島市、永田良一代表取締役社長)は18日、和泊町の飲食店で、島内で人工的に生産したシラスウナギ(ウナギの稚魚)から養成した人工ウナギの試食会を開いた。行政、地域の各種団体、関係企業などから15人が招待され、島産ウナギに舌鼓を打った。

 

同社は天然資源と日本の食文化保全に向け、2014年にニホンウナギの人工種苗生産研究に着手。17年には世界で初めて、人工海水を用いた閉鎖循環システムによる人工シラスウナギの生産に成功した。

 

19年、和泊町に研究施設を建設し、天然海水を用いた人工ウナギ研究体制に一本化。大量生産と商業化に向け、26年度までに年間10万匹の生産体制整備を目標としている。試食会は人工的に生産したシラスウナギが養鰻資源として活用可能かを確認する目的で開催した。

 

この日使われたのは、20年11月~21年5月ごろに沖永良部研究室でふ化し、同年7~12月ごろにシラスウナギへ変態。海水で1年半飼育し、食用可能なサイズまで成長させた人工ウナギ。▽うな重▽鰻(う)ざく(ウナギとキュウリの酢の物)▽鰻巻き▽ウナギの肝真薯(しんじょ)の吸い物▽ウナギの骨せんべい-などに料理され、提供された。

 

試食中は参加者から「皮までおいしい」「身が軟らかい」「卵から育てた生産者の愛情がこもっている」などの感想が聞かれた。参加者を代表して前登志朗和泊町長は「本当においしい。和泊町で生まれ、育ったウナギというところに大きな感動がある。町の新しい特産品となることを期待している」と述べた。

 

永田社長は、試食会開催は地元関係者への「感謝」とし、「今後は島のために還元していきたい。ここで養殖、加工したウナギを全世界のウナギ愛好家に食べてもらう。PRするときには『沖永良部・和泊町ウナギ』というネーミングを使わせてほしい』」とあいさつした。

 

料理を担当した飲食店「味処ふるさと」の林次男さん(61)は「生きのいい脂が乗ったウナギだった。大中小サイズが違ったことで、サイズに合わせた料理を試行錯誤できた。地元産ウナギを料理できて光栄」と話した。