奄美市で平均184円 全国平均より10円以上割高 ウクライナ情勢、島にも打撃 ガソリン価格

2022年02月27日

社会・経済 

ガソリン価格の高騰が続く給油所=26日、奄美市

ウクライナ情勢をめぐる原油価格の急騰で、ガソリンや灯油など、燃料価格の高止まりが続く。本土と比べ輸送コストなどがかさむ奄美群島では、ガソリンの店頭小売価格は全国平均より10円以上割高となっており、住民からは「家計を圧迫している」との声も上がっている。

 

経済産業省資源エネルギー庁が24日に発表したレギュラーガソリンの店頭小売価格(21日時点)は、全国平均で1㍑当たり172円と前週より0・6円高く、7週連続の値上がり。都道県別では、鹿児島県が最高値の180・4円(前週比0・7円高)で、全国で唯一、180円台の大台に乗った。2008年9月以来の高値水準。灯油の店頭小売価格も18㍑当たり2251円(同9円高)でトップとなった。

 

原油高騰の背景には、新型コロナウイルス感染拡大による需給逼迫(ひっぱく)に加え、主要産油国であるロシアのウクライナへの軍事侵攻がある。日米欧などが経済制裁に踏み切ることから、ロシアが対抗措置としてエネルギー供給を制限する懸念が広がり、原油先物価格の上昇につながった。

 

政府は今年1月末、ガソリン、灯油、軽油、重油を対象に補助金制度を導入。石油元売り会社に1㍑当たり最大5円を支給する政策で、卸売価格の上昇を抑え、ガソリンの店頭小売価格を170円程度にとどめる狙い。ただ、あくまで小売価格を決めるのは給油所であり、波及効果も地域でのばらつきが否めない。

 

奄美市内の給油所では、レギュラーガソリンの店頭小売価格(26日時点)は平均で1㍑当たり184・7円と、前月に比べ8・3円上昇した。灯油は18㍑当たり前月比110円高の2570円。群島内では、レギュラーガソリンが200円を超えるところもあり、離島への打撃は深刻だ。

 

市内のスタンド利用者かからは「家計を圧迫している」「いつ価格が落ち着くのか不安だ」と、ため息交じりの声が漏れる。経営側からは「既に高値水準だったこともあり、消費者が助成金の恩恵を実感するには、あまり至っていない」との意見も聞かれる。

 

県石油商業組合大島支部の豊隆文支部長は「補助金が始まった週は0・9円値を下げたものの、翌週にはプラスに転じ、それ以降は上限額5円を乗せても価格は上がる一方。スタンドでも定額や定量給油が増え、痛手は大きくなるばかり。政府は原油高騰対策の追加・拡充を表明しているが、国際情勢が不透明なだけに、状況は厳しい」と話す。

 

政府は、補助金制度の上限額を3月から、1㍑当たり25円に引き上げる方針を固めた。また、今月22日の衆院予算委員会では追加対策として、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除も検討対象としており、一刻も早い手立てが望まれる。