奄美群島への飛来恒常化 市長「事故原因究明を」 屋久島沖オスプレイ墜落

2023年12月01日

社会・経済 

奄美空港に緊急着陸し、修理のため約1カ月駐機した米空軍の輸送機CⅤ22オスプレイ=2018年6月、奄美市笠利町

米空軍輸送機オスプレイの墜落事故を受け防衛省は30日、米軍にオスプレイの飛行停止を要請し、陸自オスプレイも当面飛行を見合わせる方針を示した。オスプレイは2017年6月以降に奄美群島内空港への緊急着陸が相次ぎ、日米共同訓練での自衛隊施設や町営グラウンドなどへの飛来も続く。今回の事故を受け、安田壮平奄美市長は30日、乗員の安否を気遣った上で「原因究明と安全確認をとり、情報提供、運用説明などもしっかり行っていただきたい」とコメントした。

 

オスプレイは国内では在日米空軍、米海兵隊が運用するほか、航続距離が長く速度も速いことなどから、島しょ部への侵攻対処や災害救援、急患輸送などの有用性が高いとして陸上自衛隊も配備を進めている。今年10月には米海兵隊と陸自のオスプレイが瀬戸内分屯地(瀬戸内町節子)で共同訓練を実施。11月の自衛隊統合演習でも陸自オスプレイが徳之島町の海岸に飛来した。

 

米空軍オスプレイは18年6月、東京の横田基地から山口県の岩国基地を経由し嘉手納基地へ向かう途中、エンジン関係のトラブルで奄美空港(奄美市笠利町)に緊急着陸し、修理のための駐機は約1カ月に及んだ。今回屋久島沖で墜落した米空軍オスプレイも同様のルートを飛行、墜落直前に屋久島空港への緊急着陸を要請していた。

 

23年度の米オスプレイ緊急着陸は奄美空港が9月14、21日の2回。徳之島空港(天城町)が10月19日の1回。いずれも日米共同訓練の期間中だった。今年3月、低空飛行の実態把握のため奄美市名瀬知名瀬に設置された九州防衛局の騒音計測器では、70デシベル以上の騒音を4~10月末に計48回記録している。

 

奄美大島に配備されている陸・海・空自衛隊部隊はいずれも30日午後1時時点では屋久島沖での捜索に加わっておらず「上級部隊からの要請があればすぐに出動、支援できるよう準備している」などとしている。

 

喜界島漁協組合の関係者は30日、「今のところ漂流物の情報などは寄せられていないが、風向きや潮の流れによっては、こちらまで流れてくる可能性はあるのではないか」と話した。