島の自然学ぶ機会を 地域の取組方針見直し懇 県大島支庁

2022年10月12日

社会・経済 

 

地域振興の取組方針改訂に向け、委員が意見を交わした懇談会=11日、奄美市名瀬

奄美群島の課題や強み、分野別の取り組み方針などを示す「奄美地域・地域振興の取組方針」の見直しに向けた第2回地域懇談会が11日、奄美市名瀬の奄美会館であった。新川康枝県大島支庁長を座長に、各分野に精通する委員14人が意見交換。自然の保全・活用に向けた地元の子どもたちの環境教育の機会充実や、安心して出産できる環境整備、製造業、情報通信業、農業の振興など、「人・社会・産業づくり」について、さまざまな意見が交わされた。

 

地域振興の取組方針は、県が2021年度に改訂した「かごしま未来創造ビジョン」を補完するもの。ビジョン改訂を受けて今年度、県内7地域の振興局・支庁がそれぞれ懇談会を設置し、取組方針の見直し作業を進めている。

 

同ビジョンの改訂版では農林水産業、観光関連産業、企業の「稼ぐ力」の向上をはじめ、デジタルテクノロジーの活用、移住・交流の促進などを施策展開の主要項目に追加。「奄美・離島の振興」も新たに項目立て、▽世界自然遺産の保全と利用の両立▽自然と共生する文化の継承―などを掲げている。

 

会議では、事務局の大島支庁が改訂版ビジョンとの整合性や第1回会議での委員意見を踏まえて作成した「取組方針素案のたたき台」を基に議論。委員からは「地元の子が島の自然を学ぶ機会が乏しく、それでは自然を保全したり、活用したりする人の力を育てていけない」「食文化をはじめ、島に今あるものの良さを、もっと子どもたちに伝えるべき」など、「人づくり」に関してさまざまな意見が出た。

 

「社会づくり」の項目では「群島内には産科医不在の島もある。地元で安心して出産できる環境づくりを」といった声が寄せられた。「産業づくり」では「製造業や情報通信業は今後、力を入れて推進すべき業種」「農業人口の減少は奄美の産業衰退の元になる。若い世代が働いていける農業の将来像も(取組方針で)示せたら」との意見もあった。

 

大島支庁では、今回出た意見を踏まえて素案を作成。12月に第3回会議を書面上で開いて委員から意見を集め、来年2月に最終案を作成。今年度内の改訂を目指す。