平等感4割、偏る家庭内分担 「働きやすい環境」望む声多 男女共同参画4町村調査

2024年03月22日

社会・経済 

計画は男女共同参画社会基本法とその個別法(女性活躍推進法など)に基づき策定する。4町村での協働は各自治体の現行計画更新に伴い、次期計画期間の広域連携を図る全国的にも珍しい試み。奄美市は前期計画満期の22年度に再策定を終えている。

 

各町村は昨年8月ごろに策定作業を本格化し、現状把握の一環で住民懇話会や意識調査を実施。意識調査は昨年8~11月、4町村の一部住民計7209人に調査票を配布し、有効回収率は約30%だった。

 

意識調査の結果について、男女の平等感を分野別でみると▽政治20・4%▽社会通念24・2%▽家庭生活39・1%▽職場39・4%▽法制度46・2%▽地域活動46・6%▽学校教育68・0%。自治体の幹部や議員に女性が少ない政治や、伝統を重視する社会的な慣習・風潮などの分野を筆頭に男性優位の印象は強い。

 

調査は家庭生活の夫婦分担についても集計。無回答と「該当なし」を除くと、家事、育児、介護・看護ともに「妻が多く負担」との回答割合は60%を超え、「半分ずつ分担」が20%前後、「夫が多く負担」は11%以下にとどまった。

 

夫は外で働き、妻は家庭を守るべき─。こうした考えに基づいた性別による役割分担に肯定的な割合は男性34・8%、女性24%。男性はおおむね全年代で30~50%と高いのに対し、女性は40代以下が15%前後と低く、結婚や妊娠、出産後も継続的に働く意識が高い。

 

行政に望む男女共同参画施策として、男女とも最も回答率が高いのは「保育・介護サービスの充実」47・6%。女性の回答は「再就職や就労支援」40・8%、「仕事と育児・介護等両立支援制度の事業所への働き掛け」36・7%と続いており、働きやすい環境整備を求める声が強い。

 

男女共同参画推進に精通し、4町村の計画策定も支援する前県大島支庁長の印南百合子氏は「男女共同参画の趣旨や目指す将来像は理解されてきたが、現状改善の手だては漠然とした部分も多い」と指摘。「計画は策定してからが大事。官民の情報共有と意見交換を継続し、検証を重ねる必要がある」と先を見据えた。

 

計画は策定は3月末ごろの見込み。原案では「働きやすく、働きがいのある働きたい職場づくり」も重点目標(全7項目)に掲げた。事業所や求職者向けの支援・啓発に加え、保育・介護人材確保なども明記しており、多角的な施策実行になるかが注視される。

(西谷卓巳)