ソテツ被害、奄美大島で拡大 害虫カイガラムシ 県など防除に協力呼び掛け

2024年03月22日

地域

植物に付着して葉や幹を弱らせ、枯死させるカイガラムシ=21日、奄美市名瀬

2022年10月以降、奄美大島で急速に広がったソテツのカイガラムシ被害について、県はホームページで被害発生状況を公開している。24年2月末で同島内の全5市町村で被害が確認され、視認による推定被害本数は2555本。初確認時点から約4・5倍に拡大している。県など関係機関は被害拡大を食い止めるため、リーフレットを配布するなどして防除への協力を呼び掛けている。

 

カイガラムシは植物に付着して幹や枝、葉の汁を吸って弱らせる害虫。奄美大島では21年夏に奄美市名瀬の一部地区で少数のソテツ被害が確認され、調査した県森林技術総合センターが22年末、国内初確認の種と発表した。ソテツは被害が進むと黄白色、褐色になって枯死する場合もある。

 

市町村報告に基づく被害発生状況をみると、22年11月時点で奄美市と龍郷町で計570本だった被害本数は、23年11月末で島内全域に広がり2500本を超えた。今年2月末では、奄美市が最多の1638本。龍郷町709本、大和村186本、宇検村と瀬戸内町が各11本となり、島の中部から北部にかけて被害が集中している。

 

対策として県や地元自治体は、管理する道路沿いなどで植樹されたソテツの葉の切り落としや薬剤散布を進めている。また、カイガラムシの特徴や対策方法を記したチラシを各世帯に配布するなどして、住民に被害の周知を図っている。

 

同センターの公表資料によると、これまでの調査で4月の新芽にカイガラムシの幼虫が多数見られ、6、7月に発生がピークとなることが分かっている。このため「春から繰り返し薬剤散布を行うことが大切。根気強い対策が必要」と強調。被害拡大防止へ、奄美大島から島外にソテツを持ち出さないよう、住民に理解と協力を求めている。