復帰の歴史、次世代へ 奄美博物館で企画展始まる 来年1月7日まで

2023年11月11日

社会・経済 

オープニングセレモニー後に企画展を見学する出席者ら=10日、奄美市名瀬

奄美市名瀬の市立奄美博物館で10日、奄美群島日本復帰70周年記念企画展「朝はあけたり1953~『語り継ぐ』次世代へ~」が始まった。同日午前10時からオープニングセレモニーがあり、約10人が出席。戦時中や米軍統治下時代の奄美の歴史をひもとく展示が公開された。期間は来年1月7日まで。

 

展示は①太平洋戦争前から戦後直後の奄美②アメリカ世(米軍統治下)の奄美③奄美群島日本復帰運動④復帰後の奄美─の4章で構成。同館が所蔵する復帰運動ののぼりや演説に使われた円卓などの実物を見られるほか、日本への返還を求める署名活動で集まった署名録も閲覧できる。

 

オープニングセレモニーでは、安田壮平市長が「(企画展が)先人への感謝と復帰運動を後世に語り継ぐきっかけになることを期待する」とあいさつ。テープカット後、出席者らは同館3階に移動し企画展を見学した。

 

新潟県出身で奄美で暮らして約40年という鈴木貞雄さん(76)は「復帰運動については周りから聞いて知っていたが、改めてよく頑張った、大したものだと思った。復帰した日はさぞうれしかっただろう」と奄美の先人たちの苦労に思いをはせた。

 

企画展ではこのほか、復帰運動を語り継ぐ地域の活動なども紹介。来館者が当時の署名録を模した用紙に署名したり、意見を書いたりするブースも設けている。喜友名正弥学芸員は「戦前からの流れとして復帰の歴史に理解を深めてほしい。子どもたちには展示を通して復帰運動をより身近に感じてもらえれば」と語った。

 

午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)。入館料は一般310円、大学・高校生150円、小中学生100円。期間中、奄美市内の小中高校に通う児童生徒は無料。「奄美群島日本復帰記念の日」の12月25日は入館無料となる。