感染増で経済停滞懸念 奄美大島の観光業者ら 新型コロナ

2022年07月14日

社会・経済 

新型コロナ感染拡大への警戒が強まっている奄美大島=13日、奄美市名瀬

「また行動制限が出されるのでは」「判断基準を見直すべきだ」│。鹿児島県内の13日の新型コロナウイルス感染者は1579人で、2日連続で過去最多を更新した。奄美群島の同日の感染者数は114人で、前日の12日には過去最多の160人の感染を確認。観光シーズンが本格化する中、感染者の急増を受けて奄美大島の観光関係者からは経済活動の停滞を懸念する声も聞かれる。

 

奄美大島では、県のまん延防止等重点措置と飲食店への営業時間短縮陽性が解除された今年3月以降、旅行需要が少しずつ回復。世界自然遺産登録の追い風もあってか、6月22日の梅雨明け後は観光客の姿が目立つ。

 

奄美市笠利町のレンタカー店は8月末まで予約が埋まり、9月分も好調だ。従業員の女性は「しばらく旅行が出来なかったことの反動か、コロナ以前よりも予約が増えている。消毒などの対策をしっかりとって万全の状態でお客さんを迎えたい」と話す。

 

黒潮の森マングローブパーク(同市住用町)の稲元義人管理課長(62)は、「客足はコロナ以前に比べ8割ほど。夏休みシーズンの予約も入っており、順調にいけば例年通りに回復しそうだ」と期待。一方、「感染状況と行政の判断によっては休館となる。東京や大阪での感染拡大にも気を抜けない」と今後の動向に気をもんだ。

 

龍郷町のホテルでは現在まで感染拡大の影響によるキャンセルはなく、8月末まで予約で埋まっているという。責任者の男性は「高齢のスタッフがいるため、今は島内の感染拡大が一番心配だ」と語った。

 

観光客も多く利用する龍郷町の飲食店経営者は「人の移動や飲食店の営業に制限がかかるかどうかが気掛かり」と警戒。「感染者が増えても重症の人は少ない。新型コロナ自体の扱いを見直す時期に来ているのではないか」と話した。

 

感染防止に向けた水際対策の一環で県は、感染の不安がある無症状の県民や陰性結果を確認する必要がある旅行者らを対象に、PCR検査無料化事業を実施している。

 

奄美市名瀬の名瀬港フェリーターミナル2階会場を受け持つパソラボ・大島郡医師会臨床検査センター責任者の平田龍さん(34)は「コロナ生活が長引く中、一人一人が無理なく続けられる感染症対策が必要になる。検査を活用してほしい」と呼び掛けた。