栽培の基礎学ぶ 初の「たんかん塾」開講 喜界町

2023年08月18日

社会・経済 

安定出荷を目指しタンカンについて学ぶ受講生ら=17日、喜界町営農支援センター

喜界町の果樹農家がタンカンの特徴や栽培の基礎知識を学ぶ「たんかん塾」(町果樹振興会主催)が17日、同町の営農支援センターで開講した。タンカン栽培技術の底上げや町内のタンカン栽培の裾野を広げ、生産性の飛躍的な向上につなげるのが目的。同町では初の試みで、町内のタンカン生産者14人が受講。今年12月までに計3回の講義を予定している。

 

町営農支援センターによると、同町のタンカン栽培面積は約20ヘクタールで、昨シーズンは約40トンを出荷。約30人が生産に携わっているが、収量の多い年と少ない年が繰り返される「隔年結果」や病害虫などで外観が阻害され、出荷量は安定しないという。

 

この日は、県大島支庁農林水産部農政普及課主幹兼技術普及係の松尾至身係長が講師を務め、栽培の心得や生育特性といった基本的なことから、効果的な摘果作業について解説した。

 

松尾係長は「タンカンはかんきつ類の中でも成熟が最も遅い部類で、樹の体力消耗が激しく、次の年には影響が出やすい性質がある」と説明。「園地に頻繁に足を運んで、よく観察することが重要。タンカンの基礎を知って自分なりの技術を身に付けて」と呼び掛けた。

 

受講生は「収穫が期待できない花の着き方の場合、取り除いた方がいいのか」「剪定(せんてい)する時期はいつがいいか」などと質問。滝川集落で3年前からタンカンを栽培している嶺倉克己さん(66)は「今は自家用で育てているが、2~3年後の出荷を目指している。剪定の重要性や施肥の適正時期について初めて知った。滝川は風が強く当たるので、防風林も意識しながら栽培に取り組みたい」と意気込んだ。

 

町営農支援センター巖泰斗主査は「喜界島のタンカンは甘くて評判がいいが、出荷量が安定していない。皆さんが技術を身に付けて生産量が増えたら」と期待した。