沖永良部初の訓練始まる 日米共同アイアン・フィスト 知名町

2024年03月11日

社会・経済 

陸上自衛隊の隊員(手前)らが護衛する中、大山総合グラウンドに着陸した米軍輸送ヘリCH53と降機する米海兵隊の隊員ら=10日、知名町

陸上自衛隊と米海兵隊による日米共同訓練「アイアン・フィスト(IF)24」は10日、知名町で陸上戦闘訓練を行った。沖永良部島で日米共同訓練が行われるのは初めて。日米の戦闘ヘリコプターに護衛された輸送ヘリ計3機が沖合から大山総合グラウンドに着陸し、隊員が地上で合流。大山野営場(キャンプ場)へ展開し、日米共同の戦闘訓練を行った。11日は和泊町の笠石海岸で、日米の偵察用ボートによる着上陸訓練がある。

 

IFは水陸両用作戦を軸に、日米共同の装備展開や模擬戦闘を実践する大規模演習。陸自関係者によると、今回の沖永良部島での訓練は離島奪還作戦の一連のうち、初期段階となるもの。目的とする島の奪還に向け、事前に他の地域で必要と想定される戦闘行動をとり連携などを確認する「戦闘予行」を実践した。

 

午後1時50分すぎ、沖永良部島沖合の海上自衛隊護衛艦「くにさき」を離艦した陸自のCH47大型輸送ヘリが同グラウンドに着陸。軽火器を持った陸自水陸機動連隊(長崎、相浦駐屯地)の隊員ら約30人が降下し、後続ヘリの着陸に向けた周囲の安全確保を行った。

 

続いて沖合の米軍強襲揚陸艦「アメリカ」を離艦した米海兵隊の輸送ヘリCH53が同グラウンドに着陸。米海兵隊約30人が地上の陸自隊員と合流し、大山野営場へ移動した。野営場では日米の隊員が連携し、同地に展開していた敵部隊を攻撃しながら前進、制圧するまでを実践した。訓練後、隊員らは午後6時ごろまでに同グラウンドに再着陸したヘリに搭乗、沖合の艦船へと戻った。

 

訓練に伴い大山総合グラウンドと野営場の周辺は一時通行止めとされた。訓練の見学に訪れた地域住民は十数人。「訓練していることを知らず、ここに来て知った」と話す住民もいた。9日に知名町役場前で訓練反対集会を行った市民団体のメンバーら4人も、横断幕を手に訓練の様子を見届けた。

 

笠石海岸で10日に予定されていた訓練は計画の変更により中止し、11日早朝に行う。11日は▽大山総合グラウンド 午前10時~午後2時▽笠石海岸 午前9時~午後5時―で、ヘリや車両などの一般公開を実施する。