減産加速、3千反割る 2022年の生産実績 本場奄美大島紬

2022年12月30日

社会・経済 

反物を検査する本場奄美大島紬協同組合の担当者=28日、奄美市名瀬

本場奄美大島紬協同組合(牧雅彦理事長)は29日までに、本場奄美大島紬の2022年生産実績をまとめた。検査反数2960反(前年比330反減)で減産率10・03%は前年2・81%から大幅に上昇。生産額も2億4867万6千円(同3192万7千円減)と落ち込んだ。牧理事長は「3千反は維持したかった」としつつ、産地活性化につながる販売促進へ前向きな姿勢を示した。

 

22年の生産反数について、図柄の精密さに関わる経糸の密度「算数(よみすう)」別でみると、15・5算は2046反(前年比250反減)、13算は914反(同80反減)。男女別は男物316反(同8反減)、女物2644反(同322反減)だった。

 

染色材料別でみると、代表的な「泥」は1348反(同55反減)、藍染めを織り混ぜた「泥アイ」は36反(同3反減)、植物染液も使う「草木泥」は302反(同87反減)のほか、化学染料が1274反(同185反減)となった。

 

検査反数2960反のうち不合格は37点(不合格率1・25%)。内訳は絣不ぞろい12点、筋引き9点、尺不足と傷が各4点など。ほか大島紬以外の産地証明は197点あった。

 

「大幅減産となりショック。長引くコロナ禍で販売会を中止した影響も大きい」と牧理事長。来年は1月26~28日に京都で展示即売会を開く計画があり、奄美群島の日本復帰70周年も念頭に「奄美の伝統を継承する産地を盛り上げる年にしたい」と語った。

 

本場奄美大島紬の年間生産反数は、大正中期の1918年から戦時中の43年にかけて20万反以上で推移した後、45年の終戦を機に大きく低迷。日本の高度経済成長に伴い68年から再び20万反台に持ち直したが、85年以降38年連続の減産となっている。