瀬戸内町、ドローン配送試験へ

2022年06月19日

社会・経済 

30日に使用されるドローン(プロドローン社ホームページから引用)

有人離島を抱える瀬戸内町が28、30の両日、小型無人機(ドローン)を活用した空路配送の試験運用を開始する。加計呂麻島の瀬相から、住民がスマートフォンを使って欲しい商品を注文。古仁屋のスーパーで用意した商品をドローンに搭載し、瀬相まで届ける。離島で暮らす高齢者など買い物弱者の救世主となるか、注目が集まる。

 

瀬戸内町は昨年10月、日本エアコミューター(JAC)など民間4社とドローン活用の連携協定を結んだ。古仁屋を拠点として、離島の買い物弱者を支えるだけでなく、台風でフェリーが長期欠航した場合の物資輸送や、道路が遮断され陸の孤島となった集落への救援物資輸送なども構想に組み込んでいる。

 

運用するのは、目視できる範囲内を手動で操作する従来タイプのドローンとは異なり、携帯電話大手KDDIと連携し、目視できない遠方の無人地帯を遠隔操作で自律飛行するスマートドローン。

 

試験運用では、古仁屋と瀬相港の間約7㌔を約15分で結ぶ予定。28、30の両日それぞれ違う機種のドローンで実験する。2機ともに展開時の大きさは全長約2㍍。風速10㍍でも飛行可能で小雨でも対応できる耐水性のある機体を使用する。積む荷物の重さは28日は5㌔以下に、30日は15㌔以下に設定し配送する。

 

今回は実験のため、送信機を持った日本航空(JAL)の社員を離発着地点に配置するが、基本的には遠隔操作される。将来的に瀬戸内町内で事業が担えるよう、操縦技術の習得や飛行の可否を判断する能力を持った人材を育成する計画だ。

 

今回の実験では▽自動運転が可能な程度の電波がきちんと送受信できるか▽路線の風向の特徴▽気温差によるバッテリーの消耗度▽商品を衝撃から守り、卵や食パンなどを壊さず運べるか―などの点の確認から始めるという。

 

28、30日とも古仁屋港エリアでは午前10時半から、瀬相港エリアでは午前11時から、1時間おきに6往復する予定。JALは「住民の方には、まずはどのようなドローンか、飛行状態はどうかなど実際に見に来てほしい」と呼び掛ける。鎌田愛人町長は「町の課題解決に役立てられるようにしていく」と話している。