組織の枠越え支援を 薬物などの再犯防止へ 奄美市でシンポ

2022年10月22日

社会・経済 

再犯防止、依存症者支援に向けた取り組みについて議論を交わすパネリストたち=21日、奄美市名瀬

県主催の「再犯防止シンポジウム~依存症について考える~」が21日、奄美市名瀬の奄美文化センターであった。保護司や行政担当者、住民など約150人が参加し、アルコールや薬物などの依存症問題についての認識を共有したほか、依存症患者の就労支援や治療、更生に携わる関係者がパネルディスカッション。組織の枠を越えて、患者を支援する体制について議論した。

 

シンポジウムではまず、一般社団法人県精神保健福祉士協会代表理事の大津敬氏が講演。薬物やギャンブルなど依存症の症例を示し、「止めようと思っても抜け出せず、コントロールできなくなる脳の病気。誰でも陥る可能性がある」と強調。依存症患者は再犯率が高く、さらに患者の孤立を深めるとして「依存症の回復には処罰ではなく、周囲の支援が重要」と指摘した。

 

パネルディスカッションでは4人が登壇し、それぞれの立場から意見や提言。大津氏がコーディネーターを務めた。

 

依存症者の就労支援に取り組むNPO法人ブルースカイ理事長の榮時弘氏は、社会復帰に向けて「人生の生きがいを再確認して、目標を持つことが重要」と話した。自身もアルコール依存症を克服したNPO法人奄美ブルースカイ施設長の阿部哲博氏は「患者自身が病気を認め、変わらない限り回復はしない。回復までの過程を長い目で見守ってほしい」と呼び掛けた。

 

依存症者の治療に従事する精神保健福祉士の西牟田智子氏は「病院は薬物やアルコールから離れて病気と向き合える。再び依存することもあるが、治療の途中と知ってほしい」と理解を求めた。

 

県保護司会名瀬支部福祉部長の竹山耕平氏は「保護司だけでは更生させることは難しい。家族や行政、関係機関の協力が必要」と訴えた。